新生児・赤ちゃんの病気の中でも股関節に異常が見られる疾患はとても多く存在します。特に股関節の脱臼は赤ちゃんに発症しやすい障害のひとつでもあり、生後数週間~数ヶ月で股関節状態の形成不全の可能性を指摘されるケースも多いものです。但し、乳幼児期にしっかりと対処しながら成長すると幼児期には多くの場合で股関節状態が改善され全く問題なく過ごせるようになるケースが大半ですから、もし病院で指摘を受けたとしても過度に不安に思う必要はありません。ここでは赤ちゃんに発症しやすい脱臼の種類と特徴、病院での診断と検診に関する基礎知識ついて確認しておきましょう。
赤ちゃんの股関節は成人の股関節と比較するとまだ柔らかく股関節そのものが未発達段階であることを把握する必要があります。
その為、赤ちゃんの股関節は脱臼しやすいという特徴があり、また様々な股関節障害を発症しやすい傾向にあることを覚えておきましょう。
赤ちゃんの股関節障害の中でも特に多く発症傾向が見られる脱臼症状は以下の3つが代表的です。
【赤ちゃんに発症しやすい股関節脱臼の種類】
★股関節完全脱臼
★股関節の亜脱臼
★臼蓋形成不全
股関節完全脱臼とは、股関節がずれてしまったり、関節から大腿部の骨頭部分の球関節が外れてしまうなどの脱臼を起こす病気です。
通常、股関節を形成する球関節部分は簡単には外れない構造となっておりますが、赤ちゃんの場合は前述した通り股関節の形成そのものが未発達であるため、おむつの交換時などの負荷によっても脱臼症状を発症してしまうようなケースも存在します。
また亜脱臼とは赤ちゃんの関節がはずれかかっている状態を示し、股関節内に大腿骨頭がしっかり収まっていない不安定な股関節状態の事を指します。
股関節亜脱臼は最終的に完全脱臼に至る場合が多い為、しっかりとした対処を行なうことが重要です。
臼蓋形成不全とは、股関節の屋根に当たる部分、大腿骨骨頭がはまる部分の発育状況が順調に進んでいない時に生じる股関節障害で大腿骨骨頭がしっかり股関節内にはまることができない為、関節の摩耗や脱臼症状を発症する傾向をもつ疾患です。
赤ちゃんの股関節脱臼の診断は自分でもある程度の症状から推測は可能ですが、疑いがある場合は必ず医師の診断を受ける事が必要です。
後述する先天性股関節脱臼は大抵の場合、産後の乳児検診の際に発見されます。
これは生後すぐに股関節の可動範囲及び可動域のチェックをおこなうためです。
しかし、医師の経験・熟練度によっては脱臼を見抜けないケースも残念ながら存在するため少しでも疑いがある場合はエックス線によるチェックを行うようにしましょう。
生後間もない赤ちゃんの場合は早期発見ができた場合、早い段階で治療を開始できるためその後の改善状況にも影響を与えます。
また、おむつなどの交換の際も注意をはらい股関節に無理な動きをさせないよう心がけることも重要です。
尚、症状が最も多く発見されるのは、生後3~4ヶ月、症状がしっかりと確認できるのは生後1ヶ月以降となります。