野球肘治療法・治し方

野球選手の悩みの種の一つとも言える野球肘の症状、原因、治療方法など肘関節障害を専門に解説。

◆野球肘治療法・治し方の解説(もくじ)

◆野球肘手術のポイント - リハビリ期間の目安

 野球肘を発症してしまった場合はどのような治療法があるのでしょうか?ここでは手術を含めた具体的な治療法と復帰までに必要となる治療期間の目安について解説します。

 野球肘の治療の基本は、「投球動作の抑制」がまず何よりも一番優先的に行う治療法です。

 野球肘という障害そのものが、前項でも解説してきた通り使いすぎによる障害である点をまず本人が把握する事が重要なのです。

 症状が軽い場合は、1週間程度で肘関節に発症している炎症症状が回復してくるケースも多く治療そのものは難しくはありません。

 但し、前述した骨の遊離体である「関節ねずみ」などが発症している場合は、場合によっては遊離体の除去手術が必要です。

 また、応急処置としてはアイシングによる炎症の抑制が効果的です。

◆野球肘の手術

 野球肘の治療では、基本的に手術を行う事はありません。

 一般的には投球の抑制などによる「保存療法」が原則です。

 しかし、野球肘の進行の度合いによっては手術を検討する場面も出てきます。

 野球肘で手術を検討する可能性がある症状としては

☆骨軟骨病変の分離
☆関節ねずみの発生
☆靭帯損傷などの合併症

 などの症状を発症しているような場合が手術を行うケースとして考えられます。

 但し、手術療法は基本的に成人の場合のみ検討されるのが通常で、子供の場合は出来る限り手術療法以外の保存療法を主体とした治療となります。

◆野球肘の手術の利点・欠点

 プロ野球の場合オフシーズンに入ると、肘の手術を行ったというニュースを多く耳にするようになります。

 試合の無いオフシーズン中に手術を行い次のシーズンにまた万全に近い状態で戦うために手術を行う訳ですが、手術を行う利点としては以下のようなメリットが考えられます。

☆手術を行うことでパフォーマンスを復帰できる
☆痛みを抱えながら投球を行うなどのメンタル的な負担や不安を軽減できる

 以上は手術療法を取り入れる根本的な理由となりますが、選手として活躍できる時間に制限のあるスポーツ選手にとっては、手術後のリハビリ期間や手術が成功するとは限らないというデメリットもある為、これらのデメリットを超えるメリットが得られる場合に手術を選択する事になります。

 手術を検討する場合におそらく最も考慮すべき点は競技へ復帰するまでのリハビリ期間です。

 オフシーズンに手術を行う野球選手が多いのは開幕にできる限り間に合わせるための期間が確保できる事が大きな理由にありますが、選手の状況によっては、しっかりとしたパフォーマンスを既に発揮できなくなくっているような状態の場合はシーズン中であっても手術を優先し、来シーズンへの準備をすすめるようなケースもあります。

 プロ野球選手はこのように自分の症状の進行状況とシーズンを見据えて手術のタイミングを選択していることがわかります。

◆野球肘のリハビリ

 野球肘の発症の原因は使いすぎによるものです。

 しかし、成長期の子供の野球肘の場合は、その他にも

☆骨・軟骨の未発達
☆筋肉の未発達
☆投球技術の未熟

 などの要因も外部的要因として野球肘の発症原因となっていることが考えられます。

 これは成人の場合も同様で、不自然なフォームでの投球を繰り返す事で肘関節へ負担が余分にかかり、野球肘を発生する可能性を高めている事も考えられます。

 その為、野球肘の対策としては、これらの要因を踏まえて、予防・リハビリなどの対策を行う事が重要です。

◆野球肘のリハビリのポイント・リハビリ期間の目安

 野球肘のリハビリテーションにおけるポイントと注意点について確認しておきましょう。

 野球肘のリハビリテーションは具体的に、

☆十分なストレッチング
☆肘関節周りの筋力トレーニング
☆投球フォームの修正
☆投球前後のウォーミングアップとクールダウン

 などの作業を行いながら準備を整えていく流れとなるのが重要です。

 手術後のリハビリ期間中は、医師とどの程度の期間をかけてリハビリを行い、いつごろまでに実践に復帰するというプランを立てることになるでしょう。

 近年ではこのプログラムを理学療法士などと一緒にプランし、計画的にリハビリテーションを実践していく流れとなります。

 野球肘の治療期間におけるリハビリのポイントは、肘関節周りの可動範囲の確保すること。

 そして低下した肘周りの筋力や投球動作などに必要となる全身の筋力を徐々に取り戻す為の筋力レーニングの実践です。

 手術の内容にもよりますが100%の投球が可能となるまでのリハビリ期間の目安は3ヶ月程度の期間がかかります。

 軽い投球練習は1ヶ月程度で再開できるケースが大半ですが、徐々に体を復帰させていく事が大切です。

 また野球肘の発症原因として悪い投球フォームなどが関与していると考えられる場合は、投球フォームの修正作業も重要なポイントとなります。

 フォームの修正に関しては根本的な問題でもあるため、しっかりとフォームを固められずに競技へ復帰すると野球肘症状の再発を招くことになるのは容易に想定できます。

 せっかくの治療期間ですから、広い視野を持ってリハビリに取り組んでいく姿勢が大切となります。