北海道などの寒い地域に住んでいる方のしもやけのイメージ。対して、関東地域や関西、九州にお住まいの方々のしもやけのイメージとは異なるかもしれません。一般的にイメージされている「しもやけ」とは、手足が真っ赤になって痛くなってくるようなぼんやりとしたイメージではないでしょうか?子供の頃に公園で夕方まで遊んでいると手が少しずつかじかんできた経験をお持ちの方は多いと思います。指が上手に動かなくなるような感覚です。そのうちに手はだんだん痛くなってきて、服の袖で手を覆うようにして指先をこすりながらおうちに帰っていく。こんな感じの症状を「しもやけ」と呼ぶのかな?そんなイメージが大半であると思います。しかし実際は思っていた症状とは異なる部分が多い凍瘡に分類される疾患のひとつです。(凍傷とは異なる)ここでは赤ちゃんや子供に多く見られるしもやけの具体的な症状や対処法について確認していきます。
【赤ちゃん・子供はしもやけになりやすい?】
赤ちゃんは裸足が一番!
まだ土踏まずも何もできていない赤ちゃんの足はぷよぷよとしていて柔らかくとてもかわいらしい足の形状をしております。
家の中ではどの家庭でも赤ちゃんは裸足でいることが多いのではないでしょうか?
乳幼児期~幼少期にかけて裸足で過ごす事は実は足のアライメント構造の正常な発育に優良な効果をもたらすことが確認されております。
裸足で過ごすことで様々な神経器官や筋肉の成長を促すことが解ってきている為です。
しかし赤ちゃんや子供は大人よりも寒暖の変化に敏感に反応する特徴を持っており寒い日にしもやけ症状を発症してしまう可能性が高い事も把握しておくべきポイントです。
特にしもやけは足の指先などの末端部分に発症しやすい特徴があり、また季節の変わり目などの温度差がある時に特に多く発症する傾向が見られることも解り始めております。
しもやけは前述したようになんとなくイメージ的に赤く腫れていたり、指がかじかんでいるようなイメージ的な疾患として把握している方が多いかと思います。
ここではまず「しもやけの基本的な知識」について確認しておきましょう。
まずしもやけとは、正式名称では「凍瘡(とうそう)」と呼ばれる疾患にあたります。
凍瘡とは皮膚下組織の血管に障害が発生している状態を指し、皮膚病に分類される疾患です。(凍傷とは異なる)
※しもやけ=凍瘡(血管障害を伴う皮膚病の一種)
またしもやけを発症した際に見られる代表的な症状には以下の3つの症状があります。
【しもやけの代表的な3つの症状の特徴】
★しもやけの患部は炎症が発生している
★足の指や手の指など末端組織に発症しやすい
★温度差がある時に発症しやすい
患部の炎症については見た目にも赤っぽく腫れてくることから目視でも確認できるためイメージしやすい部分です。
特にアトピー性皮膚炎を持病でお持ちのお子様の場合は元々肌が敏感で弱い部分もあることからこの腫れが大きくなることがあります。
また寒い日など指先から痛くなる経験はだれもが経験していると思いますから末端部に発症しやすい傾向についても容易に想像できると範囲です。
そして最後の温度差は季節の変わり目、特に真冬よりも秋から冬に入る時期や、春先にしもやけを発症しやすいという特徴があります。
では続いて、しもやけの基本的な症状について見てみましょう。
しもやけを発症している患部には腫れのような皮膚障害がまず確認されるようになります。
この腫れが確認される段階で「しもやけかな?」と気づく方も多いはずです。
赤ちゃんの場合は、足の指先から甲部分にかけてちょっと赤く腫れてくる感じです。
また、赤みを帯びてくると共にかゆみも強く出てくるのがしもやけの特徴でもあります。
赤ちゃんがかゆみを感じているかどうかはなかなかわかりませんが、泣き止まなかったり、お昼寝をなかなかしない時は足に違和感を感じている合図ともとれます。
前述したように足が赤らんでいるなどの炎症症状が足や手の指先~甲部分に見られ、温度差が高い日であった場合はしもやけの前兆、もしくは既に発症している可能性が検討されます。
この場合は後述する対処法や、痒み止めの塗り薬などで対処していく事になります。
赤ちゃんに発症するしもやけは珍しいことではありません。
これは、赤ちゃんが新陳代謝が活発であることが原因にあります。
赤ちゃんは1日に意外にも大量の汗をかいております。
これはまさしく新陳代謝が活発な証拠です。
ご存知のように汗が多くなると汗が気化する際にその部分の温度が下がります。
ですから多く汗をかく手足は特に温度が下がりやすくなってしまうのです。
多汗症と呼ばれる疾患がありますが、多汗症患者の方はしもやけになりやすい傾向にあると言われております。
この理由も文字通り汗を多くかくことから体温を奪われやすくなっていることが原因にあります。
赤ちゃんや子供にしもやけが発症しやすい原因は優れた新陳代謝能力が関与しているのですね。
ごく僅かのケースではありますが、しもやけ症状を頻繁に繰り返し発症してしまうような場合。このような場合は遺伝的な要因も確認する必要があります。
これは、「静脈循環障害」と呼ばれる病気が発症要因となっている可能性が検討されるためです。
静脈循環障害は遺伝性のある先天性障害のひとつです。
先天性とは生まれつきもっている障害を示しますが、凍瘡は血管障害を伴う皮膚病であると前述した通り、この血管部分の循環が正常に機能しない為に、しもやけに近い血管障害症状を発症してしまっている可能性があるのです。
静脈循環障害はしもやけ以外にも様々な疾患の要因となる疾患でもありますので、もしあまりにも頻繁にしもやけ症状を発症する場合は念のため病院の診察を受けることが大切です。
しもやけにもしなってしまった場合の治し方にはどのような方法があるのでしょうか?しもやけ対策は何よりもまず温めること。軽度の場合は、暖かいタオルなどでくるんで少しずつ温めてあげることが大切です。大人の場合は局所的なマッサージも効果があります。しかし赤ちゃんの場合は肌も弱いことからマッサージはあまりおすすめできません。まずは暖かいタオルで少しずつ体温を上げてあげること。夜は暖かいお風呂につかること。基本的な対処法で問題ありません。ここでは基本的なしもやけの治し方から日常生活の範囲で行える予防法、漢方薬の活用について確認します。
【塗り薬は皮膚科で処方されたお薬を】
しもやけになってしまった場合の治し方、対処法について確認しておきましょう。
まずしもやけを発症してしまった場合は、患部を少しずつ温めて上げる事が大切です。
凍瘡とも呼ばれるように、足に指先や手の指先の血管組織が寒さによって滞っている状態であることから、まずは血行の促進を目的に温めてあげる治療が重要となります。
また、しもやけを発症すると「かゆみ症状」も出てきますが、患部は炎症反応を起こしているため強く掻きむしったりしてはいけません。
特に血行が回復してくると更にかゆみは強くなってくるため、子供などでどうしても我慢できそうもないようなケースでは痒み止めなどのお薬を使用しても良いでしょう。
但し、お薬を使用する場合は、必ず皮膚科の診断を受け、皮膚科で処方されたお薬を使用するべきです。
かかりつけの皮膚科などがある方はいつも通っている皮膚科に相談されてみて下さい。
皮膚科などで処方されるお薬は抗炎症作用のあるかゆみどめ等の塗り薬が主流です。
炎症を発症している患部の腫れを抑える効果もありますので、もし赤みが強い場合は早めに皮膚科の受診を受けることをお勧めします。
しもやけの治療では基本的に炎症を抑制する飲み薬などは使用しません。
温めるなどの基本的な治療を行う事で多くのケースでは3日ほどで症状は回復してきます。
尚、赤ちゃんの場合は、乳幼児でも飲むことができる漢方薬を処方されるケースもあるでしょう。
漢方薬は体温を向上・保持する効果が期待されるものがあります。
体温を温める効果を持つ食材としては「しょうが」がとても有名です。
その為、生姜湯等もしもやけの治療に効果があります。
漢方薬といえばおそらく誰もがご存知であろうかと思われる葛根湯がありますが、生姜は葛根湯にも含まれている主成分です。
成人女性の場合は月経不順の改善などを目的に処方される事の多い「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」と呼ばれる漢方薬をご存じの方も多いかと思います。
桂枝茯苓丸は血行障害の改善にも効果があり体を温める効果を持つ漢方薬として広く知られております。
但し桂枝茯苓丸は原則として7歳未満の子供は服用ができません。(製品やメーカーによって年齢制限は異なります)
漢方薬は赤ちゃんには飲めないものもたくさんありますので皮膚科の先生や最寄りの病院の医師に相談の上、使用を検討するようにしましょう。
しもやけの治し方・治療法の基本は、前述した通り冷えた体内を温め、血行障害を改善させてあげる事が最大のポイントとなります。
また、前項でも解説した通り、しもやけを発症しやすい時期などは日頃から冷えや温度差に対して注視しておくことが、しもやけの発症を未然に防止する予防にも繋がります。
特にしもやけを発症しやすい赤ちゃんがいる家庭ではしもやけの発症前の予防対策が何よりも大切です。
しもやけの予防のポイントは簡単な事で良いので暖かい服装と日々の気温差の確認など以下の基本項目のチェックがポイントとなります。
【しもやけ予防対策のポイント】
①暖かい服装をこころがける
②足の指は特にしもやけになりやすいため靴下をはかせる
③季節の変わり目の温度差が大きい時に注意する
特にしもやけを発症してしまう時は1日の中の温度差が10度以上になる気温差の大きい日に集中する傾向があることも確認されております。
逆に1日の温度差が10度以内の時は、仮に寒い日であったとしても簡単にしもやけになったりはしません。(凍傷の可能性はあります)
春先や晩秋など1日の気温差が大きくなりやすい時期には、衣類などを心掛けてあげる。
赤ちゃんに限らず幼稚園で遊びまわる幼児、そして小学生のお子様も同様です。
しもやけの予防対策の基本は衣類や靴下等で手足の指先を寒気から守り体温の低下を防止すること。
そして、他にも外気だけでなく体内から温めてあげる予防対策が有効です。
前述したように生姜は体を温める働きをもっていることで有名です。
また、血行障害の改善に効果のある桂枝茯苓丸や、20歳以上の成人であれば大半のドラッグストアで販売されている「薬用養命酒」なども冷え性などの対策に効果のある生薬として有名です。
外気による体温の低下を防ぎ、更に体内からも体温の低下を防止する。この双方からの対策がしもやけの治療、そして予防対策の基本となります。