タンパク質分解酵素の種類

rna分解酵素・アルコール・脂肪・DNA・グリコーゲン・アクチニジン・アセチルコリンなどのたんぱく質分解酵素の種類・作用・働きの解説

◆タンパク質分解酵素の解説

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 当サイトではタンパク質分解酵素の種類及び各酵素の働きや作用に関する基本的な知識について初心者向きにわかりやすく解説をしております。

 また幾つかの種類のタンパク質分解酵素は医療現場においてもその働きがもつ可能性が期待されているものも多くあり、タンパク質分解酵素の医療との関わりに関する記事も追記しました。

◆タンパク質分解酵素の種類・基礎知識概要

 タンパク質分解酵素の種類・基礎知識概要カテゴリでは、主な種類のタンパク質分解酵素の作用や働き、タンパク質分解酵素の応用例や豆知識など基礎的な知識について解説しております。

◆タンパク質分解酵素の医療との関わり

 タンパク質分解酵素の医療との関わりカテゴリでは、分解酵素の働きや作用の医療研究や脂肪の分解などで期待されるリパーゼなど人体への働きかけに関する知識について解説しております。

◆タンパク質分解酵素の解説(もくじ)

◆日本人と欧米人のイメージ

 日本人は欧米人と比較するとお酒に弱いというイメージがあるような気がしませんか?大きいはずのジョッキが小さく見えてしまうほどの巨大な体。そして豪快な飲みっぷり。これは欧米人に限る話ではありませんが、テレビや映画の影響も関係し、食べる量も飲酒量も単純に日本人よりも多い?という先入観があるからかもしれません。
 しかし近年の研究では体内のアルコールを分解する酵素の比率が人種によって異なる傾向を示すことが明らかになってきております。ここではアルコール分解酵素の体内比率やお酒に強い、弱いとはどのような状態を示しているのかについて学習していきます。

◆日本人はアルコール分解酵素が少ないって本当だろうか?

 アルコール分解酵素とは文字通り体内に取り込まれたアルコールを分解する働きを持っている酵素のことです。

 体内に侵入してきたアルコールは、アルコール中毒でも知られるように人体にとっては危険要素を持つ物質です。

 その為、人体の細胞組織は侵入してきたアルコールを即座に分解し体外へ排出させようとする働きはじめます。

 この際に主力となって戦う酵素がアルコール分解酵素です。

 尚、酵素の成分は100%ではありませんが、その大半はたんぱく質から構成されております。

 このアルコール分解酵素の体内比率は個人によって異なることについては既にご存知の方も多いかもしれません。

 お酒に強い。お酒に弱いという個人差はこのアルコール分解酵素の比率が関与しているのです。

◆体内比率が低いとアルコール性肝炎を発症しやすい

 アルコール分解酵素の体内比率が高い人は必然的に「お酒に強い!」とも言える可能性があります。

 これは比較的多めのお酒を飲んだとしても多くのアルコール分解酵素が活発に働き、無害化してくれる時間を短縮している為です。

 逆に分解酵素の体内比率が少ない場合は、お酒に弱いばかりでなく急性アルコール肝炎や翌日になってもアルコール成分が体内に滞留する二日酔いなどに陥る可能性が高いことも意味します。

 尚、普段から一定量のお酒を飲んでいる人であってもアルコール性肝炎に関しては誰にでも発症する可能性があるため、お酒に強いと自負しているからと言って一気に大量に摂取するのは注意が必要です。

◆人種によって分解酵素の比率が異なる?日本人がお酒に弱い理由

 アルコール分解酵素は近年になり人種によっても比率が大きく異なることが研究によって明らかになりつつあります。

 尚、日本人は欧米や西洋人に比べると分解酵素比率がやや低い傾向にあります。

 そのため日本人はお酒に弱い人が多い傾向にあるのも事実と言えそうです。

※日本人はアルコール分解酵素の体内比率が低い傾向にあるのは事実。

 但し当然個人差がある為、これはあくまで統計的に見ての話。

 日本人であっても酒豪と呼ばれる、おそらくアルコール分解酵素の比率が高い人がいるのも事実と言えるでしょう。

 しかし、どんなに酒豪と呼ばれるほどお酒が強くても、急性のアルコール性肝炎を発症するケースも確認されているため、飲み過ぎには注意が必要ですね。

◆キウイに含まれるアクチニジンの働きとは?

 たんぱく質分解酵素を多く含む食材としてキウイフルーツは度々取り上げられる食材のひとつです。このキウイフルーツには大量のアクチニジンと呼ばれる分解酵素が含有されております。お肉料理の後のデザートなどでキウイフルーツを摂取すると胃腸への負担を軽減してくれる作用をもたらしてくれるのですね。ここではキウイフルーツの上手な利用法や、アクチニジンを多く含むキウイ以外の食材についても学習していきます。

◆キウイフルーツにアクチニジン

 アクチニジンは、キウイフルーツに含まれるプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の一種です。

 アクチニジンはキウイフルーツに含まれタンパク質の実に約50%を占め、タンパク質を分解する働きをもっております。

※アクチニジンはタンパク質を分解する酵素

 尚、プロテアーゼとはペプチド結合を加水分解する酵素を指します。

 キウイフルーツが一時期注目を集めるようになったきっかけのひとつも、独特の酸味のあるおいしいフルーツとしての特徴だけなく、たんぱく質分解酵素が豊富であるという特徴をもつことがきっかけでした。

 たんぱく質と脂質を多く含むお肉料理をがんがん食べてしまった時は?

 そうですね、食後にキウイフルーツを摂取すると、胃腸で分解するたんぱく質が分解されやすくなり胃腸への負担を軽減させてくれる可能性があるのです。

◆胃腸への負担軽減作用をもたらすキウイの働き

 キウイフルーツはアクチニジンによるタンパク質分解酵素の働きがあることから肉料理や魚料理などを夕食に摂取する場合などには消化の働きを助け胃腸への負担を軽減する作用をもたらします。

 これは主婦であれば基本的な豆知識かもしれませんが、是非覚えておきたい知識ですね。

 また食後のデザートとしてキウイを摂取することも胃腸への負担軽減につながる為、肉系の料理を食べる際には積極的に摂取したいデザートであるとも言えます。

◆キウイフルーツだけ?アクチニジンを多く含む食品

 アクチニジンを含むタンパク質分解酵素を多く含む食品はもちろんキウイフルーツだけではありません。

 キウイはその含有量の高さから、アクチニジンの代表的なフルーツとして知られておりますが、日本の身近な食材ではパイナップルやいちじく等もアクチニジンを比較的多く含む食材のひとつです。

 また同じキウイであっても黄色のキウイと緑色のキウイでは、濃い緑色のキウイのほうがアクチニジンの含有量は高くなります。

◆キウイでお肉を柔らかくできるって本当?

 キウイはたんぱく質を分解する酵素であるアクチニジンを多く含有している為、お肉料理などの下ごしらえの際にキウイの果汁をお肉にふりかけておくと、お肉の内部のたんぱく質細胞が程よく分解され、筋張ったお肉等でも柔らかくすることができます。

 スポーツアスリートは筋肉を太く強くするために、筋力トレーニングを行いトレーニング後に筋肉の原料となるプロテイン(タンパク質)の摂取を心がけます。

 牛や豚の筋張った筋肉もタンパク質が主原料ですからアクチニジンで組織を分解し柔らかくするための料理の基礎知識です。

 これは前述したパイナップルやいちじくでも同様です。

 お肉料理と一緒にパイナップルが出てくる場面をよく見かけるかもしれませんが、これはお肉を柔らかくする働きがあるアクチニジンを多く含む食品だからなのですね。

 アクチニジンの代表とも言えるキウイよりもパイナップルが優先されているのは、お肉と一緒に食事をするにはパイナップルの方が味の面で適した食材だから?かと思いますがどうでしょうか?

◆EC3-加水分解酵素とは?

 加水分解酵素とはその名の通り生体内で加水分解反応を起こす際の触媒となる酵素の総称です。ここではEC第3群に分類される加水分解酵素について確認しておきます。

【EC第3群に分類される加水分解酵素】

 加水分解酵素とは、生体内の加水分解反応を触媒する酵素の総称のことです。

 別名称をヒドロラーゼとも呼んでおります。

 加水分解酵素はEC第3群に分類されており分解される化合物や結合によって
●プロテアーゼ
●ヌクレアーゼ
●エステラーゼ
●ペプチダーゼ
●アシルアミダーゼ
●グリコシダーゼ
●ホスファターゼ

 など様々な名称で呼ばれ分類されております。

【EC3群蛋白質分解酵素】
加水分解酵素EC3群1.プロテアーゼ
2.ヌクレアーゼ
3.エステラーゼ
4.ペプチダーゼ
5.アシルアミダーゼ
6.グリコシダーゼ
7.ホスファターゼ

◆DNA分解酵素を切断する制限酵素

【遺伝子組換えの技術に欠かせない制限酵素】

 最近は多くの食品などに遺伝子組換え技術が利用されるようになってきております。

 これは遺伝子組換えの技術が近年急速に向上してきたのが原因です。

 納豆などのパッケージの表紙には「遺伝子組換えでない」という表記がわざわざされているようになったことからも遺伝子組換え食品が多く存在している証と言えます。

◆制限酵素の分類

 遺伝子組換えの際に主力として活躍している酵素。
 それが制限酵素です。

 制限酵素は、2本鎖のDNAを切断する働きがあり配列を認識する能力を保持しております。

 尚、制限酵素の分類としては
●Ⅰ型制限酵素
●Ⅱ型制限酵素
●Ⅲ型制限酵素

 の3つの型に分類されます。

◆アルコールの分解過程で活躍するアセトアルデヒド脱水素酵素

 アセトアルデヒド脱水素酵素はアルコール摂取時の代謝産物であるアセトアルデヒドを無害化するために重要な役割をもつ酵素のひとつです。ここではアセトアルデヒド脱水素酵素によるアルコールの分解過程を確認します。

【アルコールの分解過程で活躍するアセトアルデヒド脱水素酵素とは?】

 アセトアルデヒドとは、アルコールが体内に侵入した際に分解された代謝物です。

 アセトアルデヒドは急性アルコール中毒などでも知られるように毒性を持っていることで比較的広く知られております。

 アルコールの分解の際にはアルコール分解酵素の働きによってアセトアルデヒドが代謝物として発生します。

 その代謝物を分解し無害化するのがアセトアルデヒド脱水素酵素です。

◆アルコールの分解過程

 お酒を飲む方の場合はアセトアルデヒド脱水素酵素の存在がとても大切に感じられるかもしれません。

 アセトアルデヒド脱水素酵素が体内に存在しなければ、私たちの体は直ぐに中毒症状を発症してしまうようになるためです。

 尚、アルコールの分解の流れは以下のような流れで分解されていきます。

【アルコールの分解過程】
①アルコール
②アセトアルデヒド
③酢酸
④炭酸ガス
⑤水

 アルコールの摂取をするとアルコールは体内で残れないためにこのような分解過程を得ることが必須となってきます。

◆グリコーゲン分解酵素の欠損による病気のひとつが糖原病

 運動時の主要エネルギー源となるグリコーゲン。このグリコーゲンを燃焼させる際に生理分解の働きをもつ酵素がグリコーゲン分解酵素です。

【グリコーゲンはエネルギー源最後の砦】

 グリコーゲンは糖質から生成される人体のエネルギー源として知られております。

 体内にとりいれられた糖質(ブドウ糖)は、体内でグリコーゲンへと変換され主に筋肉や肝臓に貯蔵されます。

 蓄えられたグリコーゲンは空腹時には逆にブドウ糖へ還元されて燃焼する事で生命活動を維持します。

※筋肉と肝臓はグリコーゲンの貯蔵庫である

 グリコーゲンは運動過程においてはグリコーゲン分解酵素によって分解、燃焼されながら有能なエネルギー源として活躍します。

 運動によって消化しグリコーゲンが不足すると肝臓に貯蔵されていたグリコーゲンが予備燃料となって燃焼する仕組みです。

◆グリコーゲン分解酵素の欠損と糖原病

 グリコーゲン分解酵素が不足すると、体内のエネルギーの源となるグリコーゲンの燃焼及び消費活動が機能しなくなってきます。

 またグリコーゲン分解酵素の減少や働きの低下などによって体内のグリコーゲン貯蔵量が蓄積しすぎると体調を崩すことにもなる為注意が必要です。

 グリコーゲン分解酵素の欠損によって発症する最も有名な病気のひとつが糖源病です。

◆脂肪分解酵素の主力はリパーゼ

 体脂肪率は一般的に加齢にともなって上昇する傾向が有ることが確認されております。歳を重ねるごとに運動をする頻度や、運動の強化が低下することが体脂肪率を高める原因として考えられておりますが、脂肪分解酵素リパーゼの分泌量の低下も大きな原因として考えられるようになってきております。

【肥満症の医学的対応に期待される脂肪分解酵素リパーゼ】

 リパーゼは、脂肪を分解する働きをもつ脂肪分解酵素のひとつです。

 脂肪を分解してくれる酵素?と聞くととてもありがたい酵素のように感じますね。

 尚、この脂肪分解酵素のリパーゼは膵臓で生成される膵液に含まれております。

 リパーゼは体内にたまった脂肪を
●脂肪酸
●グリセリン

 に分解する働きをもっている点が大きな特徴です。

◆肥満症・メタボ対策へのアプローチ

 リパーゼが脂肪を分解する働きをもっている。

 この脂肪分解の働きは近年大きな注目を集めるようになってきております。

 脂肪分解酵素を効率よく活用することができれば
●肥満症
●メタボリックシンドローム

 などの現代病ともいえる疾患に対して医学的対応が可能となってくる為です。

※肥満症はどの時代も変わらない悩みの種である

 この肥満症を生化学の分野から解決するひとつの手法としてリパーゼの研究と有効利用可方法の確立が期待されております。

 近い将来、もしかしたら脂肪分解酵素の摂取がダイエットや減量の主流となっている時代が訪れているかもしれませんね。

◆生理活性作用が注目を集めるrna分解酵素の働きと作用

【rna分解酵素の働きと作用について】

 RNA分解酵素はRNA遺伝子を分解する働きをもつ酵素の一種です。

 作用としては分解酵素の働きによってRNAを細分化し分解。分解されたRNAは新しいRNAを形成する作用があります。

 現在は分解酵素がもつ「生理活性作用」が大きな注目を集め研究が進められております。

◆意図的にウイルスに働きかける事が可能となるかも?

 RNA分解酵素は研究の成果によっては、不要となったRNAの分解という働きを超えて、意図的にウイルスに働きかける酵素として製品化が可能となってくる時代が訪れるかもしれません。

 実際にRNA分解酵素の生理活性作用を活用する研究は世界的に注目を集めており数多くの研究と発表がなされているのが現状です。

 分解酵素の働きはまだ未解明な部分も多く、今後の研究成果に期待が集まります。

◆期待されるアセチルコリン分解酵素阻害薬とは?

【期待されるアセチルコリン分解酵素阻害薬とは?】

 アセチルコリン分解酵素はその名称通りアセチルコリンを分解する酵素のひとつです。

 アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼの作用で
●コリン
●酢酸

 に分解されます。

◆アルツハイマーの治療で活躍するアセチルコリン分解酵素阻害薬

 分解されたアセチルコリン成分はこのアセチルコリン分解酵素の働きによって除去される点がポイントです。

 アルツハイマー患者は、アセチルコリン分解酵素の働きを抑制させ、脳内のアセチルコリン分泌量を多くする治療法が用いられていることからもその重要性がわかります。

 尚、アルツハイマーの治療で活躍しているお薬としては
●アセチルコリン分解酵素阻害薬
 があります。

 代表的な商品名としてはアリセプトなどが有名です。