最近夜中になると尿意を感じてトイレに行くようになってきた。更に夜中にトイレに起きる回数も少しずつ増えてきたように感じる。このような症状は夜間頻尿の合図かもしれません。
【夜間頻尿とは?】
夜間頻尿に悩む高齢者が急増していることが近年の調査により明らかになってきております。
この急増している原因は、夜間頻尿に関する排尿障害の実態が広く認識されるようになってきたこと。
そして急速に進む日本の高齢化社会に伴って高齢者の人数、年齢層が増加する流れに比例して症状の発症者も増加していると考えられます。
※夜、就寝後から起床時までの間にトイレにいく回数が少しずつ増えてきたように感じる。
残尿感があり常に尿意がある為に熟睡ができず寝起きがとても辛い。
このような症状は夜間頻尿状態にある方の典型的な症状のパターンです。思い当たる方はいらっしゃいますか?
この夜間頻尿という言葉自体は実は医学的な専門用語ではありません。
一般的な定義としては、「夜間におしっこをする為に1度以上起きなければならない状態」を夜間頻尿と呼んでおります。
夜間頻尿にあたる状態とまではいかなくても、
◆夜眠っている時に強い尿意を感じるようになってきた
◆実際に就寝後に時々トイレに行くようになってきた
◆日中もやや残尿感を感じる
◆おしっこの出方が弱くなってきた
以上のような症状を感じて始めている場合は夜間頻尿の予備軍と言えるかもしれません。
夜間頻尿の症状は男性よりも女性に多く発症する傾向があり、また加齢に伴って徐々に発症割合が高くなることが確認されております。
但し男性の場合は前立腺肥大症と呼ばれるとても発症確率の高い病気によって頻尿症状を発症しやすくなるため、男性も女性も加齢に伴って夜間頻尿になりやすくなるということは間違いないと言えるでしょう。
夜間頻尿の症状をもたらす原因はひとつの要因から発症するケースは稀で幾つかの要因が合わさって症状が現れるようになることも徐々に解明されてきております。
就寝後に排尿の為に起きなければいけない回数についても最初は数日に1回程度であったのが、毎日となり、更に毎日2回以上排尿の為に起きなければいけない症状となるケースもめずらしくありません。
どうして歳をとると夜にトイレに行きたくなるの?トイレの回数が増える原因は幾つもの要因が関与していることをまずは把握する必要があります。
【夜間頻尿をもたらす主な原因と疾患】
夜間頻尿の原因ついて見ていきましょう。
前項でも解説した通り夜間頻尿はひとつの要因から発症するよりも複数の要因が関与して発症しているケースが大半です。
尚、主な発症原因としては以下のような病気の可能性があげられます。
【夜間頻尿をもたらす可能性を持つ疾患と状態】
◆水分の過剰摂取
◆腎性尿崩症
◆妊娠性尿崩症
◆前立腺肥大症
◆不眠症
◆SAS(睡眠時無呼吸症候群)
◆高血圧症
高齢者になるほど夜間頻尿症状を起こしやすい原因はこれらの病気の発症していたり予備軍である可能性があることも大きく関与しております。
水分の過剰摂取は実際に必要とする以上の水分を摂取してしまう傾向がある場合におこります。
心因性を原因とするケースや症候性多飲症といった疾患の可能性もあるのでこの場合は医療機関で診察を行います。
またアルコール類やカフェイン類など利尿作用を持つ成分を就寝前に摂取した場合も当然夜間のトイレに影響をおよぼすことは言うまでもありません。
尿崩症や前立腺肥大症などは夜間頻尿症状を誘発しやすい疾患です。
高血圧症は一見関連がないように思えますが、腎臓内の血流量が夜間に増大するケースがあり膀胱内へ送られる尿量が増加し尿意をもたらす可能性があります。
男性の夜間頻尿は高齢者になればなれるほど症状の発症確率が高くなります。70代の高齢者が前立腺肥大による悩みを抱えている割合は実に9割以上であるというデータもあるほどです。
【前立腺肥大は20代後半から始まる】
男性が夜間頻尿症状を発症するケースは20代の後半以降が大半のケースを占めます。
中でも男性に頻尿症状をもたらす最大の原因としては前立腺肥大が大きな要因です。
前立腺は思春期になると大きく成長しますが20代後半には生殖機能を維持するために再び前立腺が肥大するようになります。
通常は特に支障はきたしませんが、過度な香辛料の摂取やコーヒー・アルコールなどの利尿作用の高い成分を過剰摂取するなど、栄養が偏ってくると前立腺内に取り込まれたテストステロンと呼ばれる男性ホルモンがジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる物質に変化し前立腺の肥大をもたらします。
前立腺は前立腺液と呼ばれる精子の活動を活発にする働きを持つ成分を分泌する大切な働きをもつ組織です。
前立腺は内線と外線と呼ばれる2つの線がありますが、前立腺肥大で肥大する線は主に尿道に近い内線であり、内線が肥大を起こすと尿道が徐々に圧迫されるようになる点が大きなポイントです。
尿道が圧迫されると、最初は尿の出や勢いが弱くなり、トイレなどでも尿が飛散して周囲に飛び散ったり、残尿感が強くなり頻尿症状を発症するようになります。
日本人の男性の場合、前立腺の肥大によって尿の出が悪化したり夜間頻尿を発症する割合は40代半ばで既に5割を超えると言われております。
70代では実に9割以上の方が頻尿症状に悩まされているというデータもあることから、前立腺肥大は男性の宿命的な疾患と言えるかもしれません。
男性の頻尿症状を改善させる働きをもつ成分としてノコギリヤシと呼ばれる成分が注目を集めております。このノコギリヤシとは一体なにものなのでしょうか?この成分がどのように働くのか?本当に効果があるのか?その仕組みとメカニズムを見てみましょう。
【注目を集める漢方薬】
男性の頻尿症状や前立腺肥大症を改善する効果を発揮するものとして注目を集めているものに漢方薬があります。
漢方薬は植物性由来成分で配合され、東洋医学の治療薬として様々な製品がありますが頻尿症状の対策に効果がある漢方薬にノコギリヤシを配合する製品があります。
このノコギリヤシが何故頻尿症の改善に効果があるのか?
この疑問は前項の高齢者に多い前立腺肥大症の項でも解説しましたが、2つある前立腺の内の内線と呼ばれる前立腺の肥大をもたらすジヒドロテストステロン(DHT)が関係しております。
前立腺は男性ホルモンであるテストステロンを多く取り込み生殖機能の働きを活性化させますが、このテストステロンは環境やステレスによってDHTへ変化する性質をもっております。
DHTへ変化したテストステロンは前立腺の肥大をもたらし尿道を圧迫し始めることになりますが、このDHTの産生そのものを抑制する働きをもつ成分がノコギリヤシ成分なのです。
このDHT産生の抑制効果が大きな注目を集め、今では製薬会社から夜間頻尿を改善する漢方薬として多くの製品が商品化されております。
残尿感や夜間頻尿症状を伴う排尿障害は年数が経過するとともに症状が強く現れるようになる進行性の疾患です。ここでは早期段階での治療の有効性と清心蓮子飲処方に基づく漢方薬について確認します。
夜間頻尿や排尿障害を既に発症しているケースで頻尿症状や残尿感が徐々に強くなってきているケースについて確認しておきましょう。
頻尿や残尿感などの排尿障害は大半のケースで、ある日突然発症するのではなく徐々に頻尿感が強くなったり、おしっこの出が悪くなるなどの症状の進行性が確認される点もひとつの特徴です。
実際に治療を開始するようになった方が、実は初めて残尿感を体感したのは1年程度前からであったり、長いケースでは既に3~4年程前から頻尿症状に悩まされていたというケースも多く存在します。
また、初期段階で治療を行わずに放置していたために徐々に頻尿症状が強く現れるようになり、仕事や家事にも影響を与えるようになってからようやく治療を開始するようになるケースが大半です。
夜間頻尿や残尿感を伴う排尿障害の治療では、このように体感症状が強く現れ始める前の段階から適切な治療を行なうことによって症状の進行を抑制し、少しずつ改善を計ることが可能となります。
進行性の排尿系の障害では早期発見と早期治療開始が最大のポイントとなってくるのです。
現在の頻尿症状を早い段階で改善する必要がある場合は、前述した漢方薬の服用によって症状の改善を計ることも有効です。
男性の頻尿症状の項でも解説した通り、現在は薄毛や禿症などの治療に効果が高いとされている薬剤のひとつにノコギリヤシと呼ばれる成分があり改善効果が認められているのは前述した通りです。
また男性・女性を問わずに古くから使用されてきた漢方薬である清心蓮子飲(セイシンレンシイン)方剤は排尿障害や排尿痛、残尿感の治療に最適な漢方薬処方であると言われております。
清心蓮子飲はあまり聞きなれない処方かもしれませんが、黄ごん(オウゴン)、麦門冬(バクモンドウ)、茯苓(ブクリョウ)、車前子(シャゼンシ)、人參(ニンジン)、黄耆(オウギ)、甘草(カンゾウ)、蓮肉(レンニク)、地骨皮(ジコッピ)の計9種類の生薬で構成される漢方薬が清心蓮子飲処方に基づいて造られる漢方薬です。
清心蓮子飲処方に基づいて上記の9種類全ての生薬を配合した製品としては小林製薬から販売されている「ユリナール」と呼ばれる製品があります。(※年齢制限がありますので要確認)
清心蓮子飲(セイシンレンシイン)処方に基づく漢方薬は病院でも処方される漢方薬で病院では煎じる必要のない「顆粒」「錠剤」「乾燥エキス剤」で処方されております。
尚、漢方薬による治療は服用後すぐに症状が改善するような事はありませんが、定期的に服用を続けることでゆるやかに症状を改善する為、一定期間ほぼ毎日服用を継続していくことが必要となります。
現在既に残尿感や頻尿症状を自覚症状として体感し始めている場合は早期段階でまず病院の診察を受け、治療を開始することが重要です。
最近なんだかトイレが近くなってきたように感じる。尿意を感じたらおしっこを我慢するのがとても辛くなってきた。妊娠・出産後からどうも頻尿症状を発症しやすくなったように感じる。女性特有の排尿トラブルは決して珍しいことではありません。ここでは女性に多い排尿トラブルの原因を探ります。
【女性に見られる頻尿をもたらす主な3つの原因】
最近トイレが近くなったと感じ始める女性は30代・40代・50代と徐々に増加してい傾向にあります。
女性の排尿のトラブルを引き起こす原因には大きく3つの種類の原因が考えられます。
ここではひとつずつ女性のトイレが近くなる原因について確認しておきましょう。
女性の膀胱炎は実はとても身近な病気の一つです。
特に女性は男性と比較すると尿道がとても短いこともあり細菌が尿道から侵入し膀胱に到達しやすい事もあり膀胱炎を発症しやすくなります。
膀胱炎の症状としては排尿時の痛みや血尿、そして頻尿症状があげられます。
特に年代を問わず発症する可能性のある疾患が膀胱炎です。
過活動膀胱とは、その名前からも推測できるように、膀胱が過剰に活動してしまう排尿器官の病気です。
膀胱は腎臓の糸球体でろ過され尿細管で再吸収されなかった残りの原尿が送られてきた尿を溜め込んでいます。
そして400ml程度まで膀胱に尿が蓄積されると尿意を催し体外へ排尿する仕組みとなっておりますが、過活動膀胱を発症すると100ml程度の尿が溜まると尿意を感じるようになります。
過活動膀胱の診断では
●尿意切迫感
●頻尿
●切迫性尿失禁
の有無を確認し診断の判断材料とします。
女性に限らず排尿をコントロールする補助として働くのが腹筋群です。
腹筋力の低下現象や、尿を漏らさないように尿道を締める機能などが何らかの原因で失われると頻尿症状を発症したり尿漏れを起こすことがあります。
妊娠経験者に特に多くやはり女性に多く見られる疾患のひとつです。
おむつコーナーを覗いてみると赤ちゃん用のおむつだけでなく高齢者用のおむつが販売されていることは皆さんご存知のはずです。人は歳を重ねるごとに赤ちゃんに帰っていくとも言いますが、排尿トラブルは切迫性尿失禁によってどうしても我慢出来ないおもらしであるケースもあることを把握しておくことが大切です。
【尿漏れ・おもらしの原因について】
高齢者がおしっこを漏らしてしまう事はよくある事ですが、介護などをしていると最初はどうして?と感じてしまうこともあるかもしれません。
日本は今、高齢化社会へとどんどん突き進んでおりますがこれから高齢者との関わりが増えていく中で若い世代の方は、この尿漏れには原因があることを覚えておく必要があるでしょう。
女性の頻尿症状の原因の項でも解説しておりますが、頻尿症状を発症する要因のひとつに過活動膀胱と呼ばれる膀胱が過剰に反応する膀胱の疾患があります。
過活動膀胱の診断基準のひとつである切迫性尿失禁は特に高齢者に多く発症する病気のひとつです。
切迫性尿失禁は特に高齢者に多く発症する排尿トラブルをもたらす病気のひとつで、何らかの原因が関与して症状を発症しております。
まだ全ては解明されておりませんが、男性の前立腺肥大症や、脳梗塞・脳出血などの脳疾患、そして脊髄損傷・脊髄梗塞などの脊髄性の疾患が原因となって、切迫性尿失禁を発症する可能性があることも徐々に解明されつつあります。
【切迫性尿失禁を発症する可能性が検討される病気】
☆前立腺肥大症(男性)
☆脳梗塞・脳出血
☆脊髄損傷・脊髄梗塞
☆腎臓系疾患
特に50代以降に多く発症し60代~70代になれば10人に一人は切迫性尿失禁による悩みを抱えていると言われております。
10人に一人はなる可能性を持つ病気ですから、高齢者のおもらしは決して珍しい症状ではないのです。
切迫性尿失禁によっておもらしをしてしまう原因についてもう少し詳しく原因を探ってみましょう。
切迫性尿失禁の症状の最大の特徴は、前触れもなく突然非常に強い尿意をもたらす点にあります。
今まではトイレまで我慢できていた尿意もこの疾患を発症するとトイレまで我慢することさえも難しくなるのです。
ドラッグストアでは赤ちゃんのおむつだけでなく高齢者用のおむつも多く販売されているのはこのような突然の強い尿意をもたらす切迫性尿失禁や尿漏れがあるためなのですね。
もし自分の両親がおしっこをもらしてしまった場面に遭遇すると最初は驚いたり、少しショックを受けるかもしれません。
しかしいつしか遭遇するかもしれない場面に備え、これは我慢したくても我慢できない症状であり比較的良くある反応の1つであることを把握しておきましょう。
本人も落ち込む事が多い症状ですから、励ましながら治療を行なっていくよう心がけると本人も、そして介護側にあたる自分自身の気持ちも楽に保てるかもしれません。
女性は男性よりも尿失禁を起こしやすいと言われておりますが、女性の尿漏れ現象が発症しやすい原因とはいったい何でしょうか?ここでは男性と女性の構造の違いと経産婦が特に尿漏れを起こしやすくなる原因ついて確認します。
夜間頻尿や尿漏れをもたらす原因として前項では切迫性尿失禁と呼ばれる尿意が突如訪れる症状について解説しました。
夜間頻尿に関しては高齢者の男性の前立腺肥大症が大きく関与しており特に70代以降の男性の前立腺肥大症発症率は9割以上と格段に発症率が高いため、高齢になるほど夜間頻尿の発症率は高まります。
また尿漏れに関しては男性よりも女性に多く発症する傾向があり、その原因は男性と女性の構造の違い、いわゆる膀胱にある尿道の長さの違いも影響しております。
ちょっとした衝撃や姿勢の変化などでも女性の場合は簡単に尿漏れを起こす事が多くあるものです。
尚、男性よりも女性に尿漏れが多く発症する原因はこの尿道の長さの違いと合せ、女性だけが経験する妊娠・出産が大きな影響を与えていることが確認されております。
「出産後から尿漏れが多くなった気がする…」
実際にこのように感じられている方はかなり多いのではないでしょうか?
女性の尿漏れに関しては妊娠・出産を経験した経産婦の場合は更に発症率が高くなり、30代を過ぎた経産婦の場合は約5割上の方が尿漏れを経験していると言われております。
また20代の女性の場合は妊娠・出産の経験がない女性の場合でも2割程度の尿漏れの経験者がいますが、同年代の20代の女性でも経産婦の場合は約2倍の実に4割以上の方が尿漏れを経験していると言われております。
経産婦が特に尿失禁を起こしやすくなる明確な原因は解明されておりませんが、出産によって腹筋群の筋力低下や尿道周辺の尿道を締める筋肉群の筋力低下が発生し尿漏れの発症を招いていると考えられております。