当サイトでは腎臓のろ過装置としての機能をもつ糸球体の構造及び働きについて初心者向きにわかりやすく解説をしております。
また腎臓疾患の可能性が検討される場合の尿検査の種類や特徴など糸球体に関連する項目及び、腎臓疾患の初期症状としての大きな特徴とも言える浮腫、浮腫み症状に関する記事を追記しました。
尚、当サイトは記事をカテゴリー別に分類してまとめてあります。
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塩分制限が必要となるケースとはどのようなケースなのか?浮腫みの原因は塩分制限にある?など塩分と浮腫みおよび腎臓疾患との関連性について解説しております。
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糸球体という言葉はあまり聞きなれない言葉かもしれません。医学の学習をしている時、腎臓の病気になった時や、健康診断や血液検査や腎臓疾患の可能性が疑われるような時に、腎臓の機能について調べた時に初めて耳にされた方もいるかもしれません。糸球体の最大の役割は私達が日常的に排泄している「おしっこ」を作る働きです。ここでは糸球体の役割、働きについて学習していきます。
糸球体とはそもそもいったいどんな働きをもつ器官なのでしょうか?
厳密に言うと糸球体とは腎臓内部にある「毛細血管」の集まってできた組織です。
糸球体は糸状に絡まりあった形状をしており、ボール状(球体状)の形態となっております。
糸球体という名前で呼ばれているのは、このような糸のような組織構造でかつ球状の形状となっている為なのですね。
※糸球体は腎臓内部の毛細血管の集合組織である
糸球体は毛細血管の集まりですがその構造はいたってシンプルです。
複雑に絡まりあった糸球体は大循環によって体内を循環してきた血液成分や体内の老廃物、そして各器官で栄養成分が代謝された際に産まれる代謝産物をろ過します。
イメージとしては理科の実験などのろ過装置のイメージでしょうか?
糸球体は後述しますが、毎日大量の原尿と呼ばれる尿の元となる血液成分を濾過しております。
そして糸球体で濾過された血液はやがて空洞となっている「ボーマン嚢」との隙間に流れ出る構造となっております。
腎臓の最大の機能である老廃物の除去、排出を行う際の栄養成分の分類を行う重要な器官が糸球体なのですね。
尚、腎臓系の疾患は、この糸球体の働きが弱まってしまったり、機能が低下してしまった事が原因で発症する病気が多く、糸球体の働きは腎臓の中でとても重要な役割をもつ器官となります。
小学校や中学校では、学校で定期的に尿検査を行います。この尿検査では尿に含まれている成分を分析し、体に何かトラブルが発生していないかをチェックしております。
特に尿中に蛋白が確認されるかどうかは最大のチェック項目です。
もし尿検査の結果で尿蛋白の数値が高いと診断された場合は、尿中にたんぱく質が漏れでてしまっている可能性がある為、糸球体がしっかりと働くことができないような状態となっている可能性が検討されます。
血尿や尿蛋白が確認されるケースでは、どの程度の量が漏れ出ているか?という状態を示す指標として「+1」「+2」「+3」「+4」という数値化された検査結果数値が保護者へ報告されるはずです。
尿検査の結果数値は数値が高いほど、たくさん漏れでてしまっている状態である事を示します。
もし尿検査の検査結果の数値が「+」を示しているようであれば、一度病院で医師の診察を受けてみると良いでしょう。
尿検査の数値はちょっとした疲労やストレスでも+数値を示すケースもありますが、もし腎臓に何かしらのトラブルが発生している場合は早期治療によって症状の進行を事前に食い止めることができるかもしれません。
※腎臓は糸球体と呼ばれる「ろ過装置機能」を保持している
私たちの腎臓は毎日休みなく働き続け再利用できる成分はもう一度体循環のサイクルへ戻し、不要となった老廃物のみを体外へ排出する分別作業を休みなく行なっております。この分別作業を行なっている組織が糸球体濾過装置の基底膜と呼ばれる組織です。
【基底膜の重要な働きは老廃物の再吸収防止機能にある】
糸球体の最大の働きは腎臓内へ送られてきた血液を濾過することでしたね。
この腎臓の糸球体は実にタフな器官で毎日休むことなく随時血液を濾過しております。
糸球体で濾過された水分は糸球体を包み込んでいるボーマン嚢へ染み出ていきます。
このボーマン嚢へ染みでて来た水分が尿の元となる「原尿」と呼ばれる成分です。
アミノ酸などのタンパク質分子はエネルギー代謝産物として有毒性のある老廃物をだすことをご存知でしょうか?
この老廃物は糸球体の基底膜の働きで糸球体からの通過を防止しております。
この基底膜の働きがある為、有害な成分は心臓へ戻る体循環の血流内に入り込むことはできなくなります。
尚、糸球体が作り出す原尿の濾過量は1日およそ140~150リットル程度。
糸球体ではわずか1日でこれだけ大量の原尿が作り出されておりますが実際に全てが排泄されるわけでなく約99%は尿細管を経て体内に再吸収されております。
もし原尿全てを排泄していたらすぐに体の水分がなくなってしまいます。
尚、残り1%の基底膜によって集められた老廃物や有機成分は尿として体外へ排出されております。
義務教育の小学校・中学校では毎年行われる健康診断で尿検査が行われます。社会人の場合も同様で年に一度は会社の健康診断を受けることが原則として義務化されております。この健康診断では尿検査や血液検査が行われまています。ここでは尿検査や血液検査が行われている理由について学習していきましょう。
【クレアチニン(CR)や尿素窒素(BUN)尿検査が行われる理由】
糸球体が腎臓内で老廃物の排出に重要な役割を果たしていることは前項までに解説してきたとおりです。
糸球体では、血液中のタンパク質系統以外の有機成分であるカリウムなどのミネラルをろ過し尿細管へ送り込みます。
仕組みとしては尿細管へ送り込まれた原尿は尿細管の各器官で有機成分が再吸収され有機成分は体内に戻り再利用されるシステムです。
基底膜の解説ページでもお話ししたとおり実際に有害成分として分類され尿として排出される成分には、
●アンモニア
●クレアチニン
●尿酸
●尿素窒素
などの有害成分があげられます。
これらの有害成分が体内に蓄積することのないように幾つかの器官では有機物の分類が行われております。
腎臓病の疑いがあるケースでクレアチニン(CR)や尿素窒素(BUN)の血液検査及び尿検査が行われる理由は、尿として排出されている成分が基準範囲内であるかどうか?また血中濃度が基準値内であるかを測定する為なのですね。
もし腎臓が正常に機能しているのであれば検査数値は基準範囲内に収まるはずです。
腎臓疾患を発症する原因は様々な要因が確認されており、先天性のものや食生活や私生活などの生活環境を要因とする後天的な原因まで幅広いリスク因子が確認されております。ここでは腎臓疾患をもたらす原因の一つである巣状糸球体硬化症について解説します。
【巣状糸球体硬化症と腎疾患】
糸球体の機能障害によって発症する障害のひとつに巣状糸球体硬化症と呼ばれる疾患があります。
巣状糸球体硬化症とは、糸球体上皮細胞障害が要因となって発症する腎機能障害のひとつです。
巣状糸球体硬化症が原因となって発症する障害には腎臓疾患の代表とも言える
①ネフローゼ症候群
②慢性腎不全
③慢性糸球体腎炎
などの障害があり、巣状糸球体硬化症が引き金となって腎臓疾患を引き起こすケースも多く確認されております。
尚、上記①のネフローゼ症候群は大きく2種類に分類が可能で
●原発性ネフローゼ症候群
●続発性ネフローゼ症候群
の二種類に大きく分類することができます。
発症確率が高いのは前者の原発性ネフローゼ症候群。
特に小児に発症するネフローゼ症候群の約9割は原発性であることが確認されております。
ネフローゼ症候群の診断の特定はやや難解であり、ステロイド系の治療薬を必要とする治療を開始する為には、事前に「腎生検」と呼ばれる数日の入院が求められる検査が必要となります。
腎臓は腎臓内部の各器官がそれぞれ自分の役割を果たすことで機能しております。尿の濾過作用と一言で言ってもその作用や働きはとても細かく調整されており、浸透圧の調整、体性のコントロールなど様々な働きを行いながら老廃物を分別したり栄養素の再吸収を行なっているのです。
【ボーマン嚢の構造と働きについて】
ボーマン嚢とは、糸球体を包み込むように覆っている組織です。
この糸球体を包み込むような形状を保っていることから糸球体包(しきゅうたいほう)とも呼ばれております。
尚、毛細血管が糸状に細かく絡み合いながら丸くなっている糸球体と、その糸球体を覆っているボーマン嚢を合わせて「腎小体」と呼びます。
※腎小体=糸球体+ボーマン嚢
腎臓の最大の役割は、やはり体内を巡る血液成分内の濾過機能、及び成分の分別機能です。(前述した基底膜の項参照)
糸球体で濾過された血液成分はやがて「原尿(げんにょう)」として糸球体包へ染み出てくるように集まってくるのは前項までに解説したとおりですね。
この糸球体から糸球体包(ボーマン嚢)へ流れ出てくる原尿成分はおよそ1日だけで150リットル以上にも及びます。
※ボーマン嚢へ送られる原尿は1日約150リットル
尚、ボーマン嚢の構造は以下の3層構造となっております。
※ボーマン嚢の構造
☆壁側葉
☆尿腔
☆臓側葉
ボーマン嚢と糸球体で構成される腎小体には尿細管極と呼ばれる部分から「近位尿細管」に繋がっており、原尿の再吸収を行なう尿細管へ繋がります。
尿細管は近位尿細管、中間尿細管、遠位尿細管、集合管に分かれており各々がそれぞれの役割を果たすことで腎臓の重要な役割を担っているのです。
【尿細管の役割と働き】 | |
---|---|
分類 | 主な役割と働き |
近位尿細管 | 原尿に含まれている栄養素の大半を吸収する |
中間尿細管 | ヘンレループの下層構成・浸透圧の調整 |
遠位尿細管 | 塩分濃度の調整・浸透圧の調整 |
集合管 | ホルモンの影響を受け細胞の透過性の調整、体内血液をアルカリ性・酸性に調整 |
腎臓内で行われている濾過作業のシステムがある程度見えてきたのではないでしょうか?ここでは原尿に含まれている成分構成と主な有機成分の一覧を確認していきます。
【原尿の成分構成について】
腎臓及び糸球体の構造は複数層のろ過装置によるろ過過程を得て尿としての排泄と血液中への再吸収を常時繰り返していることが見えてきましたでしょうか?
流れとしては糸球体で濾過された血液から染み出た水分などはまずボーマン嚢へ流れ出る。
この糸球体から染み出た水分は原尿と呼ばれる尿の元となる成分。
ここまでの流れが見えてくるともうひとつ気になることがありますね。
そう、既に糸球体でろ過されてきた原尿はいったいどのような成分構成になっているのでしょうか?
糸球体濾過機能を通した原尿の成分構成についてチェックしてみましょう。
原尿に含まれている成分は主に有機成分の集まりで構成されております。
以下は原尿に含まれる主な有機成分の一覧です。
【原尿に含まれる主な有機成分の一覧】
●重炭酸イオン
●塩化物イオン
●ナトリウムイオン
●尿素窒素
●グルコース
●カリウムイオン
●尿酸
●クレアチニン
大半の成分は一度はどこかで耳にしたことがある成分ではないでしょうか?
原尿は尿の元となる水分であることからこの原尿という名称がついております。
しかし原尿の成分構成を見ると、原尿全てが排尿されていない原因が見えてきますね。
原尿内にはまだエネルギーとして使用できる有機成分が多く含有されているのです。
この有機成分は原尿の再吸収によって体内へ戻されていく流れとなっております。
有機成分を原尿から濾し取り、老廃物のみを膀胱へ送る分別作業を行なっている組織が腎小体内の尿細管と呼ばれる組織なのですね。
【尿が排泄されるまでの仕組みと流れについて】
ここまで糸球体と腎臓組織のろ過機能のメカニズムを順を追って確認してきました。
ここでもう一度尿が排泄されるまでの流れを順に追って確認してみましょう。
【腎臓のろ過システムの流れ】
①体循環によって動脈を通じて栄養素や代謝産物が腎臓へ運ばれてくる
②糸球体によって取り込まれた血液成分は濾過し分別される
③糸球体で濾過された原尿は糸球体包(ボーマン嚢)へ流れ出てくる
④尿細管内部で再利用できる栄養素を分別。ここで90%以上は再吸収される(近位尿細管⇒ヘンレ係蹄(けいてい)⇒遠位尿細管)
⑤代謝産物や老廃物は集合管から尿として体外へ排泄される
排尿までの流れを簡潔にまとめると以上のようになります。
腎臓は大量の血液のろ過による有機成分の分別と再吸収作業を繰り返し行っている非常にタフな臓器器官と言えるかもしれませんね。
腎臓疾患を発症してしまった際に感じる自覚症状の代表に「むくみ症状」を感じるという代表的な特徴があります。むくみは主に顔や手足などに出やすく、腎機能障害のネフローゼ症候群などでは朝方に「まぶた」に腫れが確認される事も有名です。
【腎臓病患者が感じる自覚症状No1は浮腫み症状】
腎臓に関連する疾患、腎機能障害を伴っている患者が体感しやすい自覚症状についてみていきましょう。
腎臓疾患の自覚症状には様々な症状があり、また個人差もありますが関連性が深い自覚症状の代表として「浮腫」(むくみ症状)があります。
浮腫(ふしゅ)または、「むくみ」は言葉ではよく耳にする言葉ですね。
しかし、実際に浮腫が発生するメカニズムまではなかなかわかりづらいものです。
ここではまず浮腫の発生メカニズムについて確認しておきましょう。
浮腫がなぜ発症するのか?
腎臓の機能と浮腫がどのように関連するのか?
また腎臓疾患では食事療法が基本となりますが、中でも塩分制限などは自分でもできる対策法です。
しかしなぜ塩分成分が有効であるのか?というその理由についても確認していきたいと思います。
浮腫み症状は特に腎臓病などに関連せずに実際は誰にでも発症するひとつの症状に過ぎません。しかし浮腫み症状を発症する要因には体内の塩分バランスや浸透圧が大きく関与していることが確認されております。腎臓内では体液の濾過作業だけでなく尿細管内部では定性(酸性・アルカリ性)のバランス調整やナトリウム浸透圧の調整を行なっております。その為、腎臓の機能障害がある場合は浮腫みとして体表に症状が現れるようになってくるのです。
【むくみが発生する原因のひとつに腎臓の機能低下がある】
むくみが発生する原因の一番の要因として考えられるものはいったい何でしょうか?。
それは腎臓の機能の低下です。
腎臓は随時体内に発生する毒性の成分やタンパク質の代謝物、そして再吸収によって再利用できる有機栄養成分を振り分けながら、必要のないものだけを体外へ排出する有能な人体のシステムです。
しかし、このシステムは何らかの要因によって機能が低下したり、機能不全に陥ることも多い臓器でもあります。
浮腫が発生するメカニズムは、この腎臓に送られる不純物や老廃物を綺麗に濾過できなくなってきたり、機能の低下によって水分の排泄がままならなくなった場合に生じます。
生命維持活動に塩分及びナトリウムは絶対不可欠な成分です。
しかしこの塩分も過剰な摂取や、適切な排泄がなされなければ体内貯留量が増加し、塩分バランスが崩れむくみを生じるようになってきます。
また、細胞内に本来収まっているはずの水分がリンパ管の外部に染み出てしまった場合も同様に浮腫症状を発症することになります。
このように腎機能の低下が要因となって浮腫は様々なケースで発生してくるです。
太ももや脹脛(ふくらはぎ)のむくみはスカートを履くことの多い女性にとっては大きな悩みの種の一つでもあります。しかしこの浮腫み症状は何故太ももや脹脛などの下肢に集中して発生するのでしょうか?ここでは浮腫が下半身に多く発症する原因について確認していきます。
【足が浮腫みやすい原因とは?】
足や脹脛(ふくらはぎ)のむくみ症状は一度は体験されたことがある方も多いかと思います。
足は人体の器官の中でも最も浮腫が発生しやすい部位です。
その要因はごく単純に重力の作用を受けるため。
ヒトは2足歩行動物です。重力のある地球上で生活している限り足のむくみが発生しやすいことはしかたのないことなのです。
浮腫かどうかどうもわからないなぁ。
このように浮腫の見極めが難しいケースでは一度、太ももやふくらはぎなどむくみが生じている部分を指で押してみましょう。
押した部分の皮膚の戻りが遅い。
もしくは戻らないような場合は、既に浮腫が発生している可能性が高くなります。
また、場合によっては腎機能障害に関しても既に進行段階にある可能性も検討されることになります。
但し、立ち仕事などで疲労が蓄積し、一時的に血液の流れが低下することによって生じる浮腫みもあるので足の浮腫みに関しては一概に腎臓の機能障害だけを疑うことは出来ません。
ここでは腎機能障害の可能性もあるという認識の範囲で把握しておいて良いと思います。
足の浮腫み症状の自覚症状としては
☆靴が突然きつくなった
☆履いていた靴下のゴムの部分にゴムの跡が皮膚上に残る
☆座っていた部位がへこんだままもとになかなか戻らない
などの自覚症状があげられます。
足の浮腫に関しては足を心臓部分より高い場所においておくことである程度症状を緩和させることが出来ます。
これは心臓から送り出される血液が足の末端まで送り届けられ、足から心臓へ血液を戻す際に足より心臓の部位を下げておくことで重力の働きによって勢い良く血液が心臓に戻ってくる為です。
一時的にむくみ症状を緩和する際には心臓よりも高い位置に患部を置く。
これは簡易的な対処法ですが、本質的な問題解決はやはりしっかりと原因を解明しなくてはいけないことになります。
日中や夜には特にきつくも感じていなかった指輪が寝起き時の朝方になると浮腫みのために指にめり込むようにきつく感じるようになる。これは多くの方が経験されたことがある感覚ではないでしょうか?この朝方になると指輪が指にめり込んでくる原因には食べ物、特に塩分の働きが大きく影響しおります。
【指輪が抜けない時の対処法について】
朝方に「指がむくんで指輪が取れない!」
このような経験をされたことがある方は多いかもしれません。
指は足と同様人体の中でも比較的むくみやすい部位のひとつです。
普段はなんでもなくはめたりはずしたりできる指輪であっても浮腫みが生じるとたちまち指輪がぬけなくなってしまいます。
こんな時、一般的に広く知られている対策としては、石鹸などを使って指輪をはずす方法ですね。
むくみがひどくなると指先がうっ血するので指輪を迅速に外すことは確かに大切であり真っ先に取り組むべき対処法です。
しかし、医学的には浮腫が生じた原因についてこそ考えなくてはいけません。
ここでポイントとなるのが塩分摂取量の問題です。
塩分は水分を溜め込む働きをもっており、水分を常時必要とする人体にとって欠かせない成分のひとつです。
スポーツアスリートの場合は、この塩分が不足してくると体内に水分を保留して置けなくなってしまい、脱水症状を引き起こすことになってしまいます。
しかし、むくみが生じているようなケースでは、この塩分の摂取によって水分を貯めこむことから浮腫みが大きくなり逆に塩分があだとなるケースも考えられます。
その為、指輪が抜けないようなケースだけでなく頻繁に浮腫みが確認される場合は、一度塩分の摂取制限から取り組むことも大切です。
浮腫みを起こす原因は体内の体液中の浸透圧が関連していることは前述してきた通りです。この体液中の濃度変化にともなって連動して血液中の濃度が変化する成分のひとつにアルブミンと呼ばれる成分があります。ここでは血清アルブミン濃度とむくみの関連性について学習します。
【血清アルブミン(尿中アルブミン)数値が異常値を示す場合について】
アルブミンとは血清蛋白のひとつで血清中のタンパク質の重要成分です。
血清に含まれるタンパク質にはアルブミンの他、グロブリンと呼ばれる成分もありますが、アルブミンは血液中の浸透圧をコントロールする働きをもっております。
血液中のアルブミン量が極端に低下した場合、血清アルブミンが低下し、血液の浸透圧も比例して低下していきます。
この際、低下した浸透圧を補う為に水分が組織内に注入されバランスを保とうとする自然治癒能力が働きかけることになります。
このバランスを保とうとする自然な働きが実は浮腫のひとつの要因となっている点は意外と知られておりません。
血液検査などでアルブミン数値に異常が確認される場合は、浸透圧のコントロール機能が不安定となり体内の水分量が多くなり浮腫を起こしやすくなる可能性があることを把握しておく必要があります。
腎臓疾患の中でも特にむくみと関連性の高い疾患のひとつがネフローゼ症候群と呼ばれる腎機能障害です。前項では血中アルブミン濃度が浮腫みに影響を与えるメカニムズについて確認しましたが、ネフローゼ症候群はこのアルブミンが尿から大量に排出されてしまう疾患です。尚、アルブミンはたんぱく質で構成されているため尿検査では蛋白がプラスとなります。
【まぶたの浮腫み・腫れはネフローゼ症候群の症状の特徴】
浮腫症状を発症する疾患のひとつにネフローゼ症候群と呼ばれる疾患があります。
このネフローゼ症候群とは、腎臓からアルブミンが漏れ出てしまうことによって強度の高蛋白尿を排出するようになり、結果、低蛋白血症を引き起こす症状をもたらす腎臓疾患の総称です。
健康診断や学校の入学時の尿検査などでたんぱくがプラスと出てしまった場合には、まずアルブミンの流出の可能性を検討し腎臓疾患を発症していないかどうかについて新たに専門機関で検査を受けることになります。
尚、慢性腎炎などの腎臓病を持病としてもっている場合はこの低蛋白血症を引き起こしやすい傾向にあります。
ネフローゼ症候群の患者は浮腫症状を頻繁に発症することから、むくみが頻繁におこるケースではやはり腎機能障害を疑うことが重要です。(私事ですが息子がこのネフローゼ症候群の予備軍(腎生検で断定までいかない段階)であり様々な運動制限と食事制限に苦しんでいます)
初期症状としては特に朝方の「まぶたの浮腫み」が顕著に現れる傾向にある為、長期的に朝起きた際にまぶたが腫れているようであれば必ず病院で腎臓に関わる診察を受けることが重要です。
腎疾患は初期段階の急性腎炎などの段階で治療を開始できた場合は早期の回復が見込めます。
もし検診や学校の尿検査などで蛋白数値が高い数値を示した場合は専門の医療機関の受診を受けるようにしましょう。
日本食は世界の中でも健康的に優れた健康食が多いことで知られている事をご存知でしょうか?これは代表的な寿司や焼き魚料理、味噌汁など脂分の少ないヘルシーな食事というイメージが定着しているのかもしれません。しかし伝統的な日本食は欧米化されつつある現在の食生活と比較すると確かに低カロリーなメニューが多いものの、塩分量に関しては意外にも高いメニューが多いことを把握しておく必要があります。
【日本食は栄養バランスが優れている反面塩分は多い傾向にある】
病気の治療法のひとつに食事療法と呼ばれる医療方法があるのはご存知かと思います。
腎臓疾患の場合は食事で塩分制限を行うことは基本中の基本です。
この他、心臓系疾患の心不全。
肝機能障害が要因となって症状が進展すると発症しやすくなる肝硬変。(この肝硬変は、放置すると肝臓がんへ発展する可能性のある危険性の高い疾患です)
そして糖尿病や、生活習慣病、妊娠中の妊婦の食事や現代病の代表とも呼ばれるメタボリックシンドローム症候群に至るまで塩分制限を考慮した食事療法が実施されております。
塩分制限を達成できるレシピや献立が注目を集めているのは、実は日本の独特の食文化が大きな影響を与えております。
日本食は世界の中でも栄養バランスの取れた食事として有名です。
脂肪の摂取も諸外国と比較すると比較的少なく日本食は健康に良いと広く認識されております。
しかし、この日本食文化にもひとつの弱点があります。
その弱点が、塩分が多いという点にあるのです。
味噌、醤油、これらは大豆を原料とした日本食に欠かせない調味料です。
これらの最も基本とも言える調味料の塩分は非常に高くなっております。
また漬物や干物といったものも全て塩によって保存能力を高めたものであり、塩分含有量はやはり非常に高くなっております。
更に日本食といえば魚は欠かせませんが、アジの塩焼き、秋刀魚(サンマ)の塩焼きといった日本の食卓に昔ながらに並んでいるメニューに関してもやはり高塩分の食事であることは否めません。
例えば、以下のような食事を朝昼晩と食事したとしても誰も違和感を感じないのではないでしょうか?
◆朝食 ⇒ ごはん:味噌汁:漬物:のり:サンマの塩焼き
◆昼食 ⇒ うどん
◆夕食 ⇒ ごはん:味噌汁:漬物:刺身:肉じゃが
これはいかにもありそうな1日の食事メニューですね。
このメニューの場合はカロリーは適量であっても塩分は過剰となっている可能性が検討される点がポイントです。
このような食事の場合は味噌汁に使用する味噌を減塩味噌にしたり、刺身につける醤油を減塩醤油に変えてみる。
また漬物は朝だけ、うどんの汁は全て飲まないなどの工夫が必要となってきます。
昔なじみの食卓に並ぶメニューが高い塩分を含むメニューである可能性が高いのは日本独特の食文化が大きく関連していることは間違いないと言えるでしょう。