指関節を曲げようとすると引っかかるように指が弾ける症状がばね指の特徴。女性の大人に多いと言われておりますがピアノを弾く子供など幅広い年代で症状を発症する可能性をもつ腱鞘炎であるばね指の主な症状の特徴を確認します。
【ばね指とはどんな病気?】
ばね指とは、指の関節に生じる障害のひとつで、
・スプリングフィンガー
・弾撥指(だんぱつし)
とも呼ばれる、指が文字通りバネのように弾ける症状を引きおこす指関節の病気のひとつです。
ばね指は指の関節の動作に関与する「腱」に炎症などの異常が生じる事が主な原因となって発生します。
腱組織に炎症を招く病気には様々な病気がありますが、ばね指では異常を生じている関節に炎症を伴うケースが多い事から
・腱鞘炎(けんしょうえん)
のひとつの種類として位置づけられているのが現状です。
尚、ばね指は様々な名称で呼ばれますが、医学的な正式名称においては
・狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)
と呼ばれております。
※ドケルバン病も同意
ばね指の症状についてチェックしていきましょう。
まずばね指は、指にある腱の中でも「指を曲げる動作」に関与する「屈筋腱(くっきんけん)」と呼ばれる腱組織の指関節の可動部分に初期症状を発症します。
ばね指の症状は、その名前の由来の通り、指がバネのように「ビーン!」と張る症状が最大の特徴です。
この症状は腱の内部に炎症を発症し、その炎症部位に発生した「結節」が実際にひっかかる事が原因です。
尚、症状の経過に関しては、一定の規則はなく個人差がとても大きくなります。
初期症状を確認後、数年経過後に強い痛みが出てくるケースなどもあるのがばね指腱鞘炎の大きな特徴と言えます。
朝方起きると手の指がこわばるような感じがする。この指のこわばり症状の原因は指関節の炎症によって生じている腱鞘内の結節が関与している可能性があります。ここではばね指の独特の症状である浅野指関節の痛みについて見ていきます。
【指の痛みの発生原因とは?】
ばね指を発症すると、その症状の進行レベルにもよりますが、
・指を伸ばす動作
を行う際に強い痛みを生じるようになります。
ばね指の発症経験をお持ちの方は既に体験されているかと思いますが症状は特に「寝起き時」などに痛みが強い傾向にあるのが特徴です。
ばね指を伴っている患者は皆、寝起き時に
◆指が伸びない
◆指を伸ばすと激痛が走る
などのこの寝起き時の独特の症状を訴える点は大きな特徴です。
この痛みの原因はいったい何なのでしょうか?
ばね指の痛みの原因は、指の腱の
◆腱鞘(けんしょう)
と呼ばれる部位に炎症を起こす事が原因としてあげられます。
腱鞘という文字の鞘という字は「さや」とも読みますが、腱鞘とは腱が通る筒状のサヤのようなものです。
腱はこの筒状のサヤの中を滑るように移動しながら骨と筋肉組織をつなぎ関節を構成しております。
腱鞘内に炎症を起こすと、炎症部位には「結節」と呼ばれるかたまりのようなものが生じます。
そして指を伸ばす動作を行う際には、この結節が関節に押しつぶされるように可動します。
この結節部位が引っかかりながら押し潰されていく際に強い痛みが生じるのです。
女性ホルモンの分泌量は女性の一生の中でも大きく変化していきます。この変化は赤ちゃんを産む生殖機能の発育と衰退が大きく関与している為です。ばね指症状の発症にはこの女性ホルモンが関与している可能性も検討されております。
【ばね指を発症しやすい年代とは?】
手や指の腱鞘炎の代表とも言えるばね指の症状を発症する大半は女性が占めているというデータがあります。
そして、その中でも「中高年期」を迎えた女性に特に多く症状を発症する傾向が見られることも徐々にわかってきております。
女性にばね指の発症が多い原因は、残念ながら医学的に明確な解明はなされてはおりません。
しかし、その大きな要因としては、妊娠などによってホルモンのバランスが崩れる事などが関与しているとも言われております。
これは、女性ホルモン(エストロゲンなど)の分泌量が大きく低下する更年期だけでなく、「妊娠初期」の妊婦や「産後」のママにもばね指症状を多く発症する明らかな傾向が確認されている為です。
妊娠中は女性ホルモンの分泌量が増加しますが、この女性ホルモンの分泌量の変化が症状の発症に関して何かしらの影響を与えている可能性は十分に検討できます。
稀なケースですが、幼少期の子供にも症状を発症するケースがあります。
ピアノやラケットを使用するテニスやバドミントンなどのスポーツ選手の場合は手の腱鞘炎は比較的多く発症します。
しかし子供のケースでは手術などは必要なく年齢を重ねるごとに症状は自然と消えていくケースが大半です。
指関節の負担を軽減させることが基本的な予防法となることは言うまでもありません。しかし日常生活内で指の使用を制限することは不可能でもあります。ここでは基本的な炎症性疾患に対する予防と対策法を確認していきます。
【再発の予防方法について】
腱鞘炎などを代表とする炎症性の病気の大半の原因は、過度な使用によって患部に炎症を発症してしまっているケースが大半を占めます。
これはばね指においてももちろん同様です。
ですから再発の予防、発症の予防に関しては、まず第一に
◆指の使い過ぎ
を極力控える事が最大の予防ポイントとなります。
指関節は、自分で考えているよりも他の関節に比べ常に日々酷使されている関節です。
特にデスクワークなどをしている場合は、パソコンなどの普及によって、指関節への負担は大きくなる一方です。
タイピングなどの軽い運動も繰り返し継続的な負担が加わることでやはり炎症を発症する要因となります。
また、主婦の方の場合は、日常生活の家事も大きな負担となります。
とは言え仕事をしないわけにもいきませんし、家事を放棄することもできません。
ですから、もし指に痛みを感じるような時は、「一時的に指を固定」し氷水などで冷やして上げるなどの応急的な処置をこまめに継続していくことが大切な予防法となります。
これだけでも関節内に発症しはじめる炎症を早期に食い止める事が出来ます。
ばね指の治療ではこれらの日常生活の予防を忍耐強く継続する事が根本的な治療につながってくるのですね。
ばね指症状は進行性をもつ指の腱鞘炎です。今現在の自分がどの程度の進行状況にあるのかについてある程度の目安を自分の症状から確認することが可能です。ここでは初期段階・中期段階・末期段階における3つの段階に分別する自己診断方法を確認します。
【症状の自己診断方法について】
ばね指の現在の症状から、自分の進行状況を自己診断する方法をご説明しますね。
ばね指は、医学的に3つの段階によって進行状況を症状別に分ける事が出来ます。
最も軽い症状が「初期段階」、そして発症後数年以上経過しているケースが「中期段階」です。
この段階までは、基本的に保存療法による治療も可能です。
そして、最も深刻な「末期段階」になると、痛みは日常的に訪れるようになります。
この段階では、治療に関しては手術療法による治療以外に回復は見込めません。
現在の自分の進行状況がどの段階にあたるのか?について、一度自己診断をしてみる事をお勧めします。
・指の跳ね返りが微弱
・指を動かすときのみ痛みを発症
・親指の付け根などに違和感
※日常生活レベルでは支障をきたさない段階です
・曲げた指が戻りづらい
・指の跳ね返り症状を発症
・指の屈伸が困難
・痛みがやや強い
※日常生活にも徐々に支障をきたし始めます
・指の屈伸が全く出来ない
・自力での指の運動が出来ない
・無理に動かすと激痛が走る
※日常生活にかなりの支障を及ぼす状況です。
末期段階では、残念ながら完全な治療を行うには手術療法以外の治療方法では回復が望めません。
この症状まで進展している場合は必ず早期に医師の相談を受けましょう。
以上が、症状別の自己診断方法となります。ご参考になりましたか?
ばね指の症状を初めて発症してからすでに10年以上。痛みは時々しかあらわれないけれど痛みが発生するサイクルが短くなってきているような気がする。このようにもし感じているケースでは症状が少しずつ進行している可能性があります。ばね指は進行性の病気でもあるため現状よりも一気に良くなるようなケースは少なく、多くのケースでは長い年月をかけて徐々に進行していきます。
【手術が必要なケースについて】
ばね指の治療では、基本的に症状を見ながら、自然治癒力を活用して治療する
◆保存療法
と、整形外科の外科手術によって根本的な原因を治療する
◆手術療法
の2つの治療方法があります。
しかし、ばね指は基本的に「進行性障害」としての傾向を強く持っている為、保存療法を勧めても完治しないケースが7割程度を占めます。
尚、この進行性障害とは、基本的に手術以外の治療では、現状維持以上の効果がなかなか認められない状態の事で、放っておくと症状は徐々に悪化を辿る傾向にある事を指します。
手術療法の治療効果は非常に高いのが特徴で、既に日常生活に支障をきたすような状態まで症状が進行しているケースでは手術の検討も考えなくてはいけないかもしれません。
ばね指は、イメージしているよりも自分で治療することが困難な病気のひとつなのです。
ここでは手術療法を検討するケースでの手術の内容について確認しておきましょう。
まず狭窄性腱鞘炎(ばね指)の手術療法は、大きく分けると2つの手術方法に大別されます。
その2つの手術方法とは腱鞘切開手術と・内視鏡手術及び関節鏡手術の2つの手術法方法です。
【ばね指の手術の種類は2つ】
●腱鞘切開手術(けんしょうせっかいしゅじゅつ)
●内視鏡手術及び関節鏡手術(ないしきょうしゅじゅつ:かんせつきょうしゅじゅつ)
尚、一般的に広く行われている手術方法は前者の腱鞘切開手術です。
どちらの手術方法もそれぞれメリット・デメリットがあり、
◆どちらの方が優れている
という事はありません。
手術を検討される場合は、どちらを選ぶというよりも、実際に自分が
★どのような手術を行うのか?
という点についてしっかりと把握しておく事が重要になってきます。
指関節の炎症症状がある程度進行しているケースではばね指の手術を検討していかなくてはいけないケースも出てきます。ここでは病院の診察を受ける前に確認しておきたい手術に関する知識と手術費用などの具体的な確認事項を見ていきます。
【手術の病院の選び方について】
狭窄性腱鞘炎(ばね指)の手術を検討する場合、病院はどのように選ぶ事が大切でしょうか?
病院の選び方のポイントは、事前の診察時に
・どのような手術をおこなうのか?
・どのような手術が適切か?
・現在の自分の進行状況はどの程度なのか?
という点について、具体的にしっかり説明をした上で、手術を進めてくれる病院かどうかです。
狭窄性腱鞘炎(ばね指)の場合は、保存療法での完治率が非常に低いのが確かな現状です。
その為、医師側も患者側も「手術しかないな・・・」という思いを常に持っている傾向があります。
しかし、例えそうであったとしても、発症の原因や症状など、手術前の段階で細かく説明してくれる医師はやはり安心です。
狭窄性腱鞘炎(ばね指)の手術費用は決して高額ではありません。
「狭窄性腱鞘炎の手術」の医療点数は2050点と定められており、医療事務計算では1点=10円ですから、実際の手術費用は
※2050点×10円ー20500円
となることがわかります。
保険の適用もある為、個人で負担する実費は数万円程度と手術費用としては軽い自己負担で済みますし入院の必要がない日帰り手術が行われているケースが大半です。
その点もあるのか説明をせずに「手術しかありませんね…」と手術検査にすぐに入るケースが多いのも現状なのですね。
ばね指の治療を開始した場合、どの程度の期間で症状は完治するのでしょうか?症状が改善するまでの治療期間の目安と再発予防の重要性について確認していきます。
【完治までの治療期間について】
ばね指の治療では、完全な回復、症状の改善までには数年の期間が必要となります。
これは、保温療法においても、手術療法においても同様です。
しかし、関節の痛みに関しては、手術の場合は、手術後数週間で痛みは驚くほど消えていきます。
これは、痛みの原因である腱鞘の状態が改善される事によって、過度の炎症が抑えられるようになる為ですね。
近年では、「関節鏡」などを用いる内視鏡手術なども徐々に普及し、日帰りでも手術が可能となった為、日常生活の向上を考え初期・中期段階であっても手術を検討する方が増えてきました。
但し、指の関節障害は、再発の可能性も高い事から、やはり完全な治療に関しては
・日常生活の改善
という根本的な部分から改善していく必要があります。
その為には、再発をしないように正しい予防方法を身につける事が大切ですね。