骨密度の測定検査などを行う際に、その測定検査結果の基準指数として用いられる指標としての数値に「YAM」と呼ばれる数値があります。健康診断や定期検診を行った事がある方であればこのYAM数値を目にされたことがある方も多いかもしれません。ここでは骨密度検診におけるYAM数値の基礎知識を確認します。
【骨密度の平均値YAMとは?】
YAM(Young Adult Mean)とは「若年成人平均値」の意味の事で、20~44歳までの健康女性の骨密度の平均値がYAN値として用いられます。
骨密度測定検査では、この基準となるYAMを指標として、「現在の骨量はどの程度あるのか?」
を数値としてデータ化し、現状の骨密度の状況を確認していきます。
●骨粗しょう症の疑いがある場合
●骨粗しょう症の可能性がある場合
などは、この検査結果のデータを元に、パーセンテージで病気の診断を下します。
現状の、医学ではYAM数値は重要なデータ指標として用いられているのです。
骨密度の基本となるデータの測定単位について見てみましょう。
検査結果表などに現れるデータには様々な数値が記載されております。
前項で解説したYAMもその数値のひとつですね。
尚、骨密度の測定検査の単位は
●g/cm2(平方センチ)単位
にて測定がなされております。
測定検査ではこの単位数値がデータとして算出されます。
尚、成人の一般的な骨密度の数値は
●約1.0g/cm2(平方センチ)
が正常範囲として考えられております。
骨密度は、ゆるやかな曲線を描き、18歳~25歳程度でピークを迎えます。
このピーク時には、約1.0g/cm2前後の骨密度があるのが理想です。
逆に幼少期など成長段階の10代の子供や、老齢期の方はこの数値よりも低くなります。
これは、人体の自然の流れなので問題はありません。
しかし、「極端に骨密度が低下している場合」や「著しく骨密度がデータとして低い場合」は早急に対策をしなくてはいけません。
尚、後述しますが、YAMに対して骨密度の現状数値が「70%」を下回るような場合は、骨粗しょう症疾患の可能性が非常に高い状態と言えます。
このようなケースでは、治療を開始する必要がありますので注意が必要です。
YAMの診断基準の基本概要について解説します。
YAMは前項で解説したとおり若年成人の骨量平均値です。
この指標を元に検査では骨の状態について診断が下されます。
尚、この診断基準はパーセンテージで診断され、その診断基準は以下のように定義されております。
【YAMの診断基準表】 | |
---|---|
YAM数値の範囲 | 骨密度・骨量状態 |
90%以上 | 正常範囲・優良 |
80%以上~90%未満 | 正常値 |
70%以上~80%未満 | 危険信号・骨量不足 |
70%未満 | 骨粗鬆症の可能性あり |
以上がYMAの診断基準の基本概要となります。
医学的には、骨量検査の結果が70%未満の方に関しては骨粗鬆症としての治療が開始されることになります。
骨は新陳代謝が毎日繰り返されている組織です。
しっかりとした治療、及び予防で骨密度の低下現象を食い止めることも可能であることが近年確認されつつあります。
不安のある方は一度、骨密度検査を実施される事をお勧めします。
骨密度は加齢に伴いほぼ確実に数値が徐々に減少する傾向が見られる骨の状態を示す指標のひとつです。60代を過ぎても平均値を大きく上回る骨量数値をキープしている方もいらっしゃいますが、多くのケースで骨密度の数値は青年期よりも老齢期が低くなります。
ここでは加齢に伴い骨密度数値が低下する原因とメカニズムについてチェックしていきましょう。
【骨量年齢の鍵を握る破骨細胞の活動】
骨密度の年齢別の変化の流れを見てみましょう。
骨密度は、生まれたての乳児時代は非常に少なく、成長に伴い徐々にがっしりとした骨が形成されるようになります。
骨の内部の構造の成長は20歳程度まで、徐々に構築されます。
この期間、特に運動を行っている子供の骨密度が運動を行っていない子供の骨密度よりも高い割合となっている事が確認されおります。
尚、実は20代を過ぎても、骨の内部の構成は男女とも成長を続けます。
しかし、成長とあわせて骨の破壊活動も同時に進行するようになります。
簡潔にわかりやすく数式風に見てみると
●骨の形成<骨の破壊
となった状態で、骨密度の低下が始まるのです。
この骨の内部構造を破壊する細胞を「破骨細胞(はこつさいぼう)」と言います。
破骨細胞は加齢に伴い活動を活性化させる為、骨密度は加齢に伴い低下現象を見せるようになります。
では、この破骨細胞の働きを抑制することができないのでしょうか?
活動を抑制することが可能であれば、骨密度の低下現象そのものも抑制する事が可能であるとも言えます。
ここで結論から述べると、この破骨細胞の活動を完全に阻止することは出来ません。
しかし、破骨細胞の活動を抑制する働きをもつ成分が存在することも近年確認されるようになりました。
その代表とも言える成分が近年注目を集めている「MBP成分」です。
※MBPについては後述
男性と女性の骨密度は男性よりも女性の方が低下率が高い事が確認されております。
この骨密度の低下率に大きな影響を与えている要因として「女性ホルモン」が大きく関与していることが確認されました。
尚、女性ホルモンの中でも「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌が骨量の変化に大きく影響するのが確認されたのです。
このホルモンの影響が顕著に現れるのが「閉経後」の女性の骨密度です。
閉経後の女性の骨密度は閉経前と比較して極端に骨密度の低下率が上がります。
これはエストロゲンの分泌が低くなる事が女性の体に大きな影響を与えている為です。
参考までに中高年以降の男女の骨密度の低下率の平均値を見てみると
●男性は年約1%の減少率
●女性は年約2%の減少率
となっており、男性の低下率に対し、女性は実に2倍の速度で骨密度が低下していくことになります。
骨粗鬆症患者の多くが女性である事も、このように女性ホルモンの関与が大きく影響している為なのですね。
骨密度を高める薬物療法について解説を加えます。
骨密度は、普段の食事や運動などで低下現象を抑制する事が可能です。
また、場合によって中高年期であっても骨密度を高める事も可能であることも検証されております。
ですから薬物療法を用いるケースは骨粗鬆症と診断されたケースが大半です。
尚、薬物療法に使用される薬は大別すると以下の種類・用途に分類されます。
【骨粗しょう症の薬物療法で使用される薬】
★骨の吸収・溶解を抑制する薬
★骨の形成を助ける薬
★骨の吸収と形成などの骨代謝を調節する薬
以上が骨粗鬆症で薬物療法が行われる場合に用いられる種類と主な役割です。
特に前項で解説した閉経期の女性に関しては、女性ホルモンの投与が行われるケースもあります。
これは女性ホルモン分泌減少による骨密度の極端な低下を抑制する為です。
この他にも、骨の形成を促進する働きをもつ「ビタミンK2」を含むビタミン錠剤が処方されるケースもあります。
骨密度の測定検査を行う際は、幾つかの測定方法の中から骨密度数値を検査していくことになります。ここでは骨密度検診で行われる4種類の測定方法の特徴についてチェックしていきます。
【DEXA法による骨密度測定】
骨量・骨密度の測定で行われる測定方法のひとつにDEXA法(デキサ法)と呼ばれる測定方法があります。
DEXA法のDEXAとは、(Dual Energy X-ray Absorptiometry)の頭文字の略称です。
このDEXA法(2強度X線吸収測定法)とは、基本的に
★大腿骨
★腰椎
★前腕
に2種類の微量のX線を当て、骨の状態をスキャンし、スキャンデータを計算することによって「骨成分」だけを測定しようとする測定方法です。
民間の医療機関で最も普及しているDEXA法の測定機器は前腕の測定機器で「価格も安価」かつ「誤差も少ない」という特徴をもっております。
しかし、骨量測定は全身が対象であることから、正しい数値を算出するにはやはり、複数個所のデータ取得が必要となります。
尚、診断基準としては前述したYAMが用いられます。
骨量・骨密度の測定で行われる測定方法として従来から行われている測定方法のひとつに「超音波法」と呼ばれる測定方法があります。
この超音波法は現在一般的に最も普及している測定方法です。
超音波法では、測定装置に足を乗せて、かかとの骨である「踵骨(しょうこつ)の骨密度」を測定します。
×線を利用しない測定方法であり、測定自体も安易に行えるため現在でも広く普及している測定法です。
しかし超音波法による測定は、測定される音速や減衰率と骨密度との相関理由を裏付ける立証が十分になされておりません。
その為、医療分野においては信頼度が低いという欠点があります。
このような事からも将来的には使用される事がなくなる可能性のある測定方法とも言えます。
骨量・骨密度の測定で行われる測定方法のひとつに「MD法」と呼ばれる測定方法があります。
MD法のMDとは、(Micro Densitometry)の頭文字の略称です。
MD法による測定では、第2中手骨(第2指の甲にある骨)のレントゲン写真をアルミニウム板と同時に撮影します。
そしてそのレントゲン写真の陰影濃度をアルミニウム階段の陰影濃度と比較して、骨密度を測定します。
しかし、この第2中手骨部分は皮質骨優位である事から、海綿骨の多い部分とは異なり、早期段階の骨密度減少を映像でとらえることは困難であると言われております。
また、骨粗鬆症などで薬物療法を行っている場合、薬物療法による治療効果を、測定で判別することも困難です。
骨量・骨密度の測定で行われる測定方法として近年普及し始めている測定方法のひとつに「CT法」と呼ばれる測定方法があります。
CT法のCTとは、(Computed Tomography)の頭文字の略称です。
CT法ではコンピュータX線断層撮影装置にて撮影を行い、画像に現れる骨の映像の濃度で骨密度をコンピューターが測定します。
但し、設備が高価な為、コンピュータX線断層撮影装置のある医療機関がほとんどないのが現状です。
近年、大学病院や大型の総合病院などでは少しずつ見かけるようになってきております。
骨密度測定が行われる最大の目的はやはり骨粗しょう症に関連する骨の疾患を把握することが最大の目的にあります。ここでは定期的に骨量測定を行う目的と公的機関などで行われる骨密度測定検査の検査内容について確認します。
【骨量測定検査を定期的に行う重要性】
人間の骨量は、個人差はありますが基本的に20代までは徐々に高まり、その後徐々に低下していきます。
骨粗鬆症は、前項でも解説したとおり、発症後に治す事は非常に難しい疾患です。
そして、なおかつ自覚症状の確認しづらい疾患でもあるのです。
骨粗鬆症が発見される多くのケースは、実際に骨折などをして病院で発見するケース。
そして骨量検査によって疾患の可能性を発見するケースが大半です。
骨量検査を定期的に行うことで現在の自分の骨量を把握し、常に予防と対策を行っていくことが重要です。
骨量測定検査は、民間の医療機関でも測定用の機器を用意している病院も多いので、これらの病院で簡単に検査を受けることが可能です。
尚、骨量測定検査は
★保健センター
★保健所
などの地域にある行政機関でも行っております。
現在、日本では40代~70代の各年代の節目ごとに「公的な骨量検診」を行っているので、これらの検診も積極的に受けるようにしましょう。
※公的検診の実施についてはご自信がお住まいの地域の管轄の保健センター、保健所に連絡をとると詳しく教えてもらう事ができます。
公的機関で行われる検査は、一般的な機械による骨量測定に加えて「生活習慣のチェック」を行う問診表の記入などです。
これは、骨粗鬆症の可能性がある場合、骨粗鬆症は生活習慣病として位置づけられているためです。
この他にも、専門の栄養士が質問などを行い、その内容も加味していくケースもあります。
尚、検査結果は後日、郵送で送られてきます。
検査結果の内容で、骨粗鬆症と診断された場合は、医療機関などで治療を行っていくことになります。
この場合、民間の専門医療機関などの紹介をしてもらえるケースもあるので、もし対象となってしまった場合は必ず確認してみましょう。
MBPと呼ばれる成分が骨粗鬆症の予防に有効であることをご存知でしょうか?MBPは、人によってはほとんど聞き覚えのない成分かもしれません。ここでは骨粗鬆症患者の骨量維持に有効くMBP成分の働きや特徴について確認しておきましょう。
【MBP成分とはいったいどんな成分?】
MBPとは簡潔に述べると牛乳などの乳製品にごく微量だけ含まれている「たんぱく質成分」のことです。(カルシウムではありません)
よく日数が若干経過したヨーグルトパックを開けると、ヨーグルトの上の部分に水が溜まっていますよね。
このヨーグルトの上にたまっている水分を「乳清」といいます。
MBPはこの乳清の中にごく微量だけ含まれている成分です。
近年、このMBP成分が骨の骨密度を高める働きがあることが確認されました。
牛乳の中でもMBPは非常に微量しか含まれていません。
ですから、このMBPの摂取は困難であると思われていました。
しかし、近年このMBP成分を抽出し、成分含有率を高めた商品が製品化されるようになりました。
こうしてMBPは急速に注目を集める成分となったのです。
人体の骨は、毎日のように作り変えられています。
この骨の代謝作用を、その名のとおり「骨代謝」といいます。
骨代謝のメカニズムは、骨内の古くなった細胞が破壊される「骨吸収」と、新たに新しい骨細胞が構築される「骨形成」の繰り返しによってなされています。
尚、骨吸収に働きかける細胞組織を「破骨細胞」、 そして骨形成に働きかける細胞組織を「骨芽細胞」と呼びます。
MBPの働きの特徴は、この骨の形成に大きく関与する「骨芽細胞」の働きを促進させるだけでなく、その作用と同時に破骨細胞の働きを抑制する効果を持っている点が大きな特徴です。
尚、MBP成分は熱に弱いため、高温での加熱調理を行う際は、調理の最後に加えるなどの工夫が必要となります。
MBPの最大の特長は、
●骨芽細胞
●破骨細胞
の双方に効果的に作用するのが最大の特徴です。
またMBPは骨を形成する骨芽細胞の働きの元となるコラーゲン産生の促進効果が非常に高い点も注目を集めた理由のひとつにあります。
近年、コラーゲンは美容効果を高めることで様々なスキンケア製品に使用されるようになりサプリメント商品としての商品も、非常に多く製品化され身近な存在となりました。
MBPは体内で構成されるコラーゲンの生成を促す作用も確認されております。
人体の骨細胞は、コラーゲンたんぱく質のまわりにカルシウムが付着する形で細胞が構築されます。
ですから、コラーゲンなくして骨の形成は完成されないのですね。
MBPはこのコラーゲンの生成にも関与する点が大きなポイントなのですね。
骨密度検診で平均値より測定数値が低かった場合。骨密度は簡単に増えることはありませんが日々の生活習慣のちょっとした工夫で骨密度を上げる事も可能です。
【骨粗鬆症の予防となる食事】
骨粗鬆症は、一度発症すると、治療によって簡単に改善することが出来ない疾患です。
一度すかすか状態になってしまった骨を修復するには、長期間の治療が必要となるのです。
ですから、骨粗鬆症の対策は、日常生活から予防を行い対策を行わなくてはいけません。
特に骨粗鬆症の予防対策としてお勧めの栄養成分のひとつにカルシウムの摂取があげられます。
骨は、人体最大のカルシウム貯蔵庫です。
骨の色をイメージすると誰もが白い色をイメージすると思います。
これは、骨を構成する最大の成分であるカルシウムの色なのです。
尚、このカルシウムの吸収を助ける働きをもつビタミンDもあわせて摂取することで、骨の強化が更に高まります。
人体最大のカルシウム貯蔵庫である骨の密度を高めるには、やはりカルシウムの摂取が不可欠です。
カルシウムの多い食品の代表は、やはり牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品です。
尚、牛乳やチーズ以外にカルシウムを多く含む食品には以下の様な食材があります。
【カルシウムの多い食品一覧】
★豆腐
★大豆
★ひじき
★わかめ
★煮干
★サクラエビ
★切り干し大根
★のり
魚などは、骨までまるごと食べることができる小魚をとるとよいでしょう。
特に豆腐は、比較的容易にカルシウムを摂取でき、かつたんぱく質も豊富な事から毎回の食事に「豆腐半丁」を加えるだけでも大きな効果が期待できます。
一般成人が必要とするカルシウム摂取量は「最低600ミリグラム」と言われております。
当然、運動を激しく行っているスポーツアスリートなどはこれらの最低摂取量以上のカルシウムの摂取が必要となります。
また、妊婦などは授乳によってカルシウムを大量に失うことから「プラス300ミリグラム」のカルシウム摂取を心がけるように指導されております。
しかし、現実的に日本人の平均カルシウム摂取慮は「約400ミリグラム程度」であると言われております。
カルシウムの必要量の摂取は、意識的に行わなければ、なかなか最低必要量さえも摂取しづらいのが現状のようです。
このような傾向からも、カルシウムの多い食品を心がけて摂取していくことが骨粗鬆症の予防へと繋がっていくと言えます。
骨の強度は、運動などによって変化することが確認されております。
骨に与える強度が高くなればなるほどその効果は高まり強く丈夫な骨を作るのです。
一見、成長に危険と思われるようなヘビーな重量を扱うトレーニングなどにおいても、その強度が強くなるにしたがって骨も強化される事がわかってきたのです。
軽いランニングよりは「バスケットボール」や「サッカー」などの運動の方が強度が高く、骨を丈夫にします。
また、より強度なウエイトリフティングなどの骨に強い負荷を与える運動を行えば更に強い骨が構築されるのです。
しかし、使いすぎ症候群、いわゆるオーバーユース症候群となると、逆に「疲労骨折」などを引き起こす要因ともなるので、注意が必要です。
適度な運動を継続的に実践していく。
高齢者であれば、簡単なウォーキングなどからはじめ、自分の骨に負荷を加えてあげることが大切です。
骨粗鬆症は日本の人口のおよそ10%程度と言われるほど多くの患者がいる病気のひとつです。世界一の長寿国である日本は高齢化社会へ進む事は確実です。今後は骨粗鬆症患者も増加してくる可能性が高くなります。
【骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは?】
骨は様々な成分によって構成されております。
その中でも骨を構成する成分の主力としてあげられる成分のひとつが「カルシウム」ですね。
この他、「タンパク質」「リン」などの成分も加わり、骨重量のおよそ50%程度がこれらの成分で構成されております。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは、これらの含有成分の低下によって、骨の内部の密度が減少し骨がもろい状態になってしまう病気です。
骨粗鬆症は、前項で解説した通り、骨の内部構造が劣化する病気です。
尚、骨粗鬆症の医学的定義としては以下のように定義されております。
※骨の量の減少に伴い、骨の微細構造の劣化を引き起こし、骨強度が低下し、骨折を起こしやすくなった疾患
実際に骨の内部を輪切りにして確認すると、最も骨量の豊富な20代の骨の内部はぎっしりと組織が詰まっている状態であるのに対し、骨量の低下した骨粗鬆症の骨の内部構造はスポンジのようなすかすかの状態となっております。
このように、骨が加齢とともに弱体化する事(脆弱性亢進)によって、普通に転倒しただけでも骨折にいたるケースが多く見られるようになります。
骨粗鬆症は、骨の内部構造が劣化し、骨折などを引き起こしやすくなってしまう骨の疾患です。
ですから、骨粗鬆症患者は、骨折の危険性について常に注意しなければいけません。
しかし、現実的に骨粗鬆症が最も危険と考えられる要因は実は骨折ではなく骨折をした事によって寝たきり状態になってしまうことが最大の危険要因としてあげられます。
骨粗鬆症患者の特に高齢者の方が、転倒などによって骨折した場合、危険を避けるために外出などを避けるなどのサイクルに陥ってしまうケースが多くあります。
結果的に、家にこもる事から更に体力は低下し、最終的に寝たきりになってしまうケースも実際に多く存在するのです。
骨粗鬆症は、基本的に長年の生活習慣から疾患に徐々に発展していく病気、いわゆる「生活習慣病」として位置づけられている疾患です。
ですから、主だった自覚症状から疾患を把握するのが難しい疾患でもあります。
このような特徴から発見が遅れ治療が困難となるケースが多くなります。
尚、基本的な骨粗鬆症の症状は以下のとおりです。
【骨粗鬆症の代表的な症状】
★立ち上がる時に腰や背中に痛みが走る
★重い物を持つと腰や背中に痛みを感じる
★転倒によって骨折してしまう
★背中が曲がってくる
★身長が著しく縮んでくる
特に初期症状としては、背中と腰の痛みが一般的に広く見られる症状として上げられます。
しかし、例えば腰痛を持病として持っている場合などは、
●これは腰痛による自覚症状であるのか?
●それとも骨粗鬆症による自覚症状であるのか?
を判断することが難しく、やはり発見が遅れる要因ともなっております。
現在、日本の骨粗鬆症患者は、全人口の約10%程度までに迫る勢いであると言われております。
日本の人口を約1億2700万人とすると実に1200万人以上が骨粗鬆症患者になる勢いであるという計算になります。
また、骨粗鬆症予備軍までを含めると、実に2000万人程度がいるのではないか?と言われております。
戦後は、あまり認知されていなかったこの疾患が、なぜ日本国内でここまで増えてきたのでしょうか?
この答えは、実は2つの要因が関与しております。
そのひとつは、骨粗鬆症検査の医療技術が高度化された為です。
X線吸収法(DXA)などの測定検査技術が普及し、今まで判別されなかった方も骨粗鬆症患者として確認されるようになり大幅に患者が増大してきたのです。
また、もうひとつの要因は、高齢化、平均寿命の伸びがあげられます。
骨量・骨密度は、年齢の加齢とともに徐々に低下していくものです。
予防や対策によって低下を食い止めることも可能ではありますが、基本的に骨量は加齢とともに減少します。
その為、骨粗鬆症患者の割合が高齢者の割合の増加とともに伸びてきているのです。