偏平足の原因・改善法

偏平足と遺伝の関係。偏平足の矯正方法。子供に多い偏平足症状の改善法の解説。

◆偏平足の原因・改善法の解説(もくじ)

◆偏平足の原因は遺伝性?それとも筋力低下?

 偏平足の足裏は生まれ持った親からの遺伝によるものなのでしょうか?確かに偏平足は一定の割合で遺伝する可能性があることがわかりつつあります。しかし、親が偏平足であってもしっかりとした足裏のアーチ構造を保っている子供も多くいるように、遺伝以外の要素が偏平足の原因要素として関連している可能性があることも確認されるようになりました。赤ちゃんの足裏はみんな偏平足であるように、生後の環境などによっても足裏のアーチ構造へ大きな影響を与える可能性があるのですね。ここでは何故偏平足になるのか?など発症原因について確認していきます。

◆子供への遺伝の可能性

 昔から、偏平足症状は遺伝による要素が大きいと考えられてきました。
 しかし、偏平足症状は、筋力の低下など後天的な要素からも発症する事が徐々にわかってきた為、遺伝に限らず様々な状況下において発症する事が現在では立証されております。

 偏平足とは足裏のアーチ構造がつぶれてしまう事によって、足の裏が偏平状に変形してしまう足裏のアライメント障害です。
 そしてこの足裏のアーチを持ち上げる働きをもつ筋肉である
●後脛骨筋群(こうけいこつきんぐん)
 の機能低下が偏平足に大きく関与すると考えられるようになりました。

【後脛骨筋群とは?】
 足裏のアーチ構造を形成する働きをもつ筋肉群
☆後脛骨筋(こうけいこつきん)
☆長趾屈筋(しょうしくっきん)
☆長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)など

◆遺伝性と筋力低下・どちらが偏平足の原因か?

 近年での医学の研究では、これら「後脛骨筋群」の筋力低下が偏平足に関与する可能性が低い事が改めて確認されつつあります。

 医学の世界においても偏平足に関しては完全に原因が立証できない病気でもあるのです。

 尚、遺伝が骨格形成に関与する事は立証されておりますから、現在では改めて後脛骨筋群の機能低下という見解よりも、やはり以前から検討されてきた遺伝による要素が高い可能性をもつ。
 という見解に戻りつつあります。

 こうしてみると、現在は偏平足の原因を考える際には遺伝性及び足裏のアーチを形成する筋肉の発達という双方の側面から考えていく必要があると言えます。

 但し、生まれたての赤ちゃんの足は皆、偏平足。このあたりに何かヒントが隠されているのかもしれません。

◆赤ちゃんはみんな偏平足

 人間の足は母親のおなかの中では誰もが偏平足状態となっております。
 ですから、生まれたての赤ちゃんの足は完全なかわいらしい偏平足構造となっていますよね。

 赤ちゃんの足裏の中心部分には十分な脂肪がついており、触ってみるとぷよぷよとしており非常に柔らかくなっております。
 しかし、これは乳児の期間だけの話です。成長に伴って足裏の形状は徐々に変化を遂げていきます。

 年齢的に足裏の偏平足構造が最も大きな変化を遂げるのは1歳~2歳にかけての間で、ちょうど歩行を少しずつはじめる段階に大きな変化を遂げます。

◆先天性偏平足とは?

 幼児期に入ると足裏のアーチは徐々に持ち上がるように形成され、個人差はありますが平均的には8歳~10歳までの期間に、足裏のアーチ形状はしっかりとした形に形成され、見た目にも明らかな足裏のアーチ構造が確認できるようになります。

 しかし、この時期にアーチ構造を形成する筋肉・腱組織・靭帯組織の発育障や、運動不足等を要因として十分な骨格や筋肉の発達が出来ずに足裏のアーチが形成できずに大人へと成長していく子供もいます。

 このような発育不全による偏平足を「先天性偏平足」と呼びます。

 先天性と聞くと遺伝性と思われがちですが、幼児期の生活環境なども足裏のアライメント構造形成不全のひとつの要因となっているのですね。

◆偏平足の矯正・改善法

 偏平足の治療ではインソールや靴などの装具を利用する矯正法が盛んに行われております。しかし、アーチ構造が形成され始める幼少期に運動を含めた対策を行うことで偏平足の発症確率が低下する可能性があり、裸足で遊びまわる裸足教育が近年になり見直され始めております。ここでは偏平足の矯正及び治療、そして自分で実践できる簡単なメニューなども含め偏平足の予防対策について学習していきます。

◆女性に多い外反母趾と偏平足の併発

 偏平足と同様に足の形状に関わる障害のひとつとして外反母趾という足のアライメント障害があります。

 外反母趾とは、その名の通り、足の母子のMP関節(付け根部分の関節)が外側(小指側)に反り返るような形状となる足の病気です。

 比較的女性に多く発症する足の病気で、外反母趾は主に幼少期から予兆が現れ成人以降の骨格が完成した後に変形が強くなる傾向にあります。

 近年では20代で大きく変形し始め、30代では歩くことも苦痛になるほど変形し手術を検討せざる終えないケースも見られます。

 この外反母趾は偏平足症状を併発するケースが多く、このような偏平足と外反母趾症状が併発している症状を外反偏平足とも呼びます。

◆矯正装具による治療の実践

 外反偏平足の治療は比較的長期的な治療が必要となり、基本的に靴やインソールなどを利用する装具による矯正治療が必要となります。

 インソールでは土踏まず部分が通常よりも盛り上がっている偏平足対策用のインソールが、現在では多数市販されております。

 また、外反部分の形状に合わせて痛みのある出っ張り部分にゆとりをもたせ、衝撃吸収材などで強制する外反母趾対策用の靴・ハイヒールなども市販されているので、これらの専用装具の使用も検討してみましょう。

◆昔ながらの裸足の習慣を

 子供の足は前項で解説したように、基本的に8歳程度までは偏平足症状が残った状態になっております。

 ですから、7~8歳以下、小学校で言えば低学年の子供の足に偏平足が見られても過度に心配する必要は一切ありません。

 しかし、通常は徐々に足裏のアーチが形成されてくる時期でもあるのでこの時期にしっかりとした運動をさせてあげる事は非常に重要です。

 偏平足症状が強い子供の場合は、まず裸足による生活習慣をつけてあげるようにしましょう。

 大地を裸足で踏みしめるケースと、靴下や靴を履いた状態で踏みしめるケースでは、
●使用する筋力
●バランス感覚
 がまったく異なってきます。

◆幼稚園・保育園で見直される裸足教育

 近年の子供に偏平足症状が多発している傾向のひとつとして、この裸足の習慣がほとんど無くなってしまった事もひとつの要因と考えられております。

 その為、近年では保育園、幼稚園などでも裸足教育が盛んに実践されるようになりました。

 また、子供が大好きな「つま先立ち」なども積極的にさせてあげるようにしましょう。

 つま先立ちは、特に教えなくても子供が好んで行う遊び要素のある歩き方です。

 親が見せてあげる事で子供が何となく遊びながら真似をして、偏平足症状の改善に大きな効果をあげている可能性があるというデータもあります。

 このように、足関節周りの筋力を子供の生活に合わせて普通に使用する習慣を作ってあげるだけでも大きな治療・改善効果が期待できるのです。

◆足裏・足関節・脛周りの筋力を強化するメニュー

 偏平足対策の豆知識として、タオルギャザーという足裏の筋力、足関節、脛周りの筋力を強化する方法があります。

 一般的によくリハビリなどで知られている方法でもありますが、やり方は非常に簡単です。

【足裏・足関節・脛周りの筋力を強化するメニュー】
①まず、50センチ程度の長さのあるタオルを地面にひきます
②次にタオルの先に辞書などの錘となるものを乗せます
③次に辞書を置いた反対側に足裏を乗せて、足の指だけでタオルを引っ張ります
④辞書が指先にあたるまで引っ張ったら1回目が終了
⑤同様の事を、10~20回繰り返します

 ポイントは足の指だけで引っ張る事。そして錘を極端に重いものにせずに、出来るだけ回数を多くこなすようにする事です。

 足の指をしっかり使用することで、足指に付着する筋肉や腱を簡単に鍛えることができます。

 タオルギャザーは捻挫などのリハビリでも良く実践されるメニューのひとつです。
 1ヶ月から2ヶ月ほど継続して行うことで、足関節周りの筋力を強化する事ができ、かつ偏平足症状の予防対策ともなりますので偏平足の場合は定期的に実践してみると良いでしょう。