以前はほとんど認識されていなかった若年性痴呆症(若年性認知症)の診断基準が明確化されたことにより、現在は推定でも10万人~20万人以上の患者がいると予測されております。また若年性アルツハイマー型認知症に関しては遺伝的な要素の関連性も研究されてきております。ここでは若年性と老年性の定義・分類について学習します。
痴呆症の発症の原因の約50%を占めるとされるアルツハイマー型認知症では、発症が確認された年齢によって大きく2種類に分類されます。
もし65歳未満の年齢で初期症状の発症が確認された場合は、若年性痴呆症(若年性認知症)として診断されます。
この若年性認知症の割合は非常に低い傾向にありますが進行が早いなどの独特の傾向が確認されております。
また65歳以上の年齢で初期症状の発症が確認された場合は老年性認知症として診断されます。
アルツハイマー型認知症と呼ばれる病気そのものの認知度が低かった以前は、9割以上が老年性痴呆症として診断されており、若年性痴呆症の医学的な症例は多くありませんでした。
このように症例が少なかった原因には当時、明確な診断基準がなく若くして発症する可能性があることが広く知られていなかったという時代背景も関与しております。
老年性痴呆の発症傾向を調べた統計データでは、
●加齢とともに発症確立が高まる
とされており、特に85歳を過ぎた時点で、発症確率は急激に上昇するとされております。
若年性痴呆は近年急速に患者数が増加している傾向にあり、推定20万人以上。
この推定も高齢化社会の進行に伴い今後は更に増加していく可能性も指摘されております。
これはとても身近で確率の高い疾患であることの証明とも言えるでしょう。
このように推定患者数の増大が予測できるようになってきたのは、若年性アルツハイマーの診断を下す事が可能となった
●診断基準の明確化
などの要因が絡んでいるのは間違いありませんが、その数はやはり増加の一途を辿っているのが現状です。
若年性アルツハイマーに関しては
●遺伝的な要素の関与
も徐々に確認されつつあり、もし親が65歳未満で認知症を発症している場合、その子供の認知症の発症率も大きく高まることが検証されつつあります。
尚、アルツハイマー型認知症の場合、染色体による遺伝性が認められる場合は家族性アルツハイマー病(遺伝性アルツハイマー病も同意)として分類されます。
また、60代以上の患者が圧倒的に多い若年性アルツハイマーではありますが、症例としては40代、50代の早期発症事例も確認されており、今後更に診断が明確化されてくると40歳~50歳代における患者数が増加してくる可能性もあると言えます。