膝蓋腱反射はアキレス腱反射の項でも解説した通り、反射の測定部位の中ではとても多く利用される部位でもあります。ここでは膝蓋腱反射の打鍵部位から膝蓋腱反射測定の目的について解説します。
膝蓋腱反射とは、大腿部の主力となる前面の筋肉である大腿四頭筋に付着する強靭な腱組織、膝蓋腱の反射です。
膝蓋腱は反応が目視でも確認しやすい点にあることから、腱反射テストでは頻繁に膝蓋腱反射が行なわれております。
膝蓋腱の末端部分は膝蓋骨(膝のお皿)下部に付着しております。
その為、反射テストでは膝頭の下部を打鍵器で打鍵し反応を測定します。
膝蓋腱反射テストを行い、亢進が確認できる場合は、脳神経の麻痺などの神経系障害をまず疑います。
もちろん腱反射テストだけで、診断できるのは表面部分のみでしかありません。
しかし、これらの亢進が明確にあらわれる特徴は、簡易的に症状を確認できる唯一の手段とも言えます。
尚、膝蓋腱反射の亢進がある状態を医学的に「膝クローヌス」と呼びます。
腱反射の測定では、検査を受けるものが過剰に打鍵部位を意識しているケースなどでは、筋肉が過剰に反応し腱反応を誘発しづらい状況も考えられます。
この場合は、腱反射を誘発するために、たとえば下肢の膝蓋腱反射などを行なう際は、両手を胸の前で引かせるなどし、意識付けを別の部位に起こさせることで腱反射を誘発する事ができます。
尚、このように意識を分散する形で打鍵を行う方法をジェンドラシック手技と言います。
深部腱反射は基本として大きな骨格筋に付随する腱組織を対象とします。
これは大きな骨格筋ほど腱反射の誘発が行ないやすく、また反射が確認しやすい為です。
腱反射で用いられる基本的な打鍵部位としては以下の様な代表的な打鍵部位がありますので把握しておきましょう。
【深部腱反射の打鍵部位】
①膝蓋腱反射⇒膝のやや下部
②上腕二頭筋遠位腱⇒肘窩の内側
③アキレス腱反射⇒アキレス腱踵骨部位
④上腕二頭筋遠位腱⇒肘窩の内側
⑤上腕三頭筋の遠位腱⇒上腕後面、肘頭より近位
⑥腕橈骨筋の遠位腱⇒前腕外側の遠位