骨粗鬆症は日本の人口のおよそ10%程度と言われるほど多くの患者がいる病気のひとつです。世界一の長寿国である日本は高齢化社会へ進む事は確実です。今後は骨粗鬆症患者も増加してくる可能性が高くなります。
骨は様々な成分によって構成されております。
その中でも骨を構成する成分の主力としてあげられる成分のひとつが「カルシウム」ですね。
この他、「タンパク質」「リン」などの成分も加わり、骨重量のおよそ50%程度がこれらの成分で構成されております。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは、これらの含有成分の低下によって、骨の内部の密度が減少し骨がもろい状態になってしまう病気です。
骨粗鬆症は、前項で解説した通り、骨の内部構造が劣化する病気です。
尚、骨粗鬆症の医学的定義としては以下のように定義されております。
※骨の量の減少に伴い、骨の微細構造の劣化を引き起こし、骨強度が低下し、骨折を起こしやすくなった疾患
実際に骨の内部を輪切りにして確認すると、最も骨量の豊富な20代の骨の内部はぎっしりと組織が詰まっている状態であるのに対し、骨量の低下した骨粗鬆症の骨の内部構造はスポンジのようなすかすかの状態となっております。
このように、骨が加齢とともに弱体化する事(脆弱性亢進)によって、普通に転倒しただけでも骨折にいたるケースが多く見られるようになります。
骨粗鬆症は、骨の内部構造が劣化し、骨折などを引き起こしやすくなってしまう骨の疾患です。
ですから、骨粗鬆症患者は、骨折の危険性について常に注意しなければいけません。
しかし、現実的に骨粗鬆症が最も危険と考えられる要因は実は骨折ではなく骨折をした事によって寝たきり状態になってしまうことが最大の危険要因としてあげられます。
骨粗鬆症患者の特に高齢者の方が、転倒などによって骨折した場合、危険を避けるために外出などを避けるなどのサイクルに陥ってしまうケースが多くあります。
結果的に、家にこもる事から更に体力は低下し、最終的に寝たきりになってしまうケースも実際に多く存在するのです。
骨粗鬆症は、基本的に長年の生活習慣から疾患に徐々に発展していく病気、いわゆる「生活習慣病」として位置づけられている疾患です。
ですから、主だった自覚症状から疾患を把握するのが難しい疾患でもあります。
このような特徴から発見が遅れ治療が困難となるケースが多くなります。
尚、基本的な骨粗鬆症の症状は以下のとおりです。
【骨粗鬆症の代表的な症状】
★立ち上がる時に腰や背中に痛みが走る
★重い物を持つと腰や背中に痛みを感じる
★転倒によって骨折してしまう
★背中が曲がってくる
★身長が著しく縮んでくる
特に初期症状としては、背中と腰の痛みが一般的に広く見られる症状として上げられます。
しかし、例えば腰痛を持病として持っている場合などは、
●これは腰痛による自覚症状であるのか?
●それとも骨粗鬆症による自覚症状であるのか?
を判断することが難しく、やはり発見が遅れる要因ともなっております。
現在、日本の骨粗鬆症患者は、全人口の約10%程度までに迫る勢いであると言われております。
日本の人口を約1億2700万人とすると実に1200万人以上が骨粗鬆症患者になる勢いであるという計算になります。
また、骨粗鬆症予備軍までを含めると、実に2000万人程度がいるのではないか?と言われております。
戦後は、あまり認知されていなかったこの疾患が、なぜ日本国内でここまで増えてきたのでしょうか?
この答えは、実は2つの要因が関与しております。
そのひとつは、骨粗鬆症検査の医療技術が高度化された為です。
X線吸収法(DXA)などの測定検査技術が普及し、今まで判別されなかった方も骨粗鬆症患者として確認されるようになり大幅に患者が増大してきたのです。
また、もうひとつの要因は、高齢化、平均寿命の伸びがあげられます。
骨量・骨密度は、年齢の加齢とともに徐々に低下していくものです。
予防や対策によって低下を食い止めることも可能ではありますが、基本的に骨量は加齢とともに減少します。
その為、骨粗鬆症患者の割合が高齢者の割合の増加とともに伸びてきているのです。